大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「自転車は子どもがさいしょに得る自由だ」

若者が大金を手にして有頂天になっていた。 お金をたくさん稼いで数年でやめるつもりだった。 そうしたら病気になった。 全てがふいに 夢と消えた。 復帰した時は、誰も自分に期待していなかった。 人間なんてそんなものだ。 それならツールで優勝してやろう…

〈(屋上の)(鍵)(ください)の手話は(鍵)のとき一瞬怖い顔になる〉  伊舎堂仁

どこの海にもつながっていない海にもつながっている海がある 「気絶したことある?」ないよ「するべきよ」「キスが全然」「変わってくるわよ」 伊舎堂仁『トントングラム 新鋭短歌シリーズ』。胸とか脳にとどく短歌に出遇うとどこでいつ生まれたのかとすこし…

「二つの世界に挟まれたけど。それで幸せみつけられた」

2005年の映画。ニコール・キッドマンがかわいい。沢口靖子のような清純で一所懸命な役どころ。監督はノーラ・エフロン。温かな、そしていくらか知的な登場人物たちによる喜怒哀楽を堪能する。 イザベル(ニコール・キッドマン)は魔女。なんでもできるせかい…

ギャップと共感と

母子二人が部屋のなか。母が子を想う気持ちが凄い。母と子では「未知」に対する態度が異なる。 1977年の作品であり、物語の説き起こしかたがイマドキの映画とはちがうからイマドキのおとこの子には薦められないでいるけど、たくさんのにんげんによって量産さ…

ヒロインの実父役にウィリアム・H・メイシー

2015年の映画『ルーム』。監禁生活を強いられていた母子が無事に脱出し、外界と触れはじめる。生まれたときから密室暮らしが当たり前だった子のジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)にはなにもかもあたらしく、おどろくことにためらいはない。母のジョイ(…

ここをでなければ。そとでこどもがまっている。

報道されなかった細部の欠落を埋め、煽情的に語られたであろうところは省略する。つまり真っ当なのだが、ネットサーフィンで情報を拾っていったときのおぞましさはない。映画として、それが過不足なく倫理的なつくりかただったのか、よくわからない。 2015年…

「終わりのない憎しみや復讐に関わる理由はない」

『風と共に去りぬ』や『ゴッドファーザー』は当然として、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』にところどころ似ていることにおどろいた。『愛と精霊の家』(1993)、ビレ・アウグスト監督。製作国はドイツ、デンマーク、ポルトガル。 出演はメリ…

読みながら、なぜジョンヒョンをおもいだすのだ。

表紙を見て「悪い、俺は性格が悪い。」かと早とちり。現代短歌の同語反復に馴れすぎてしまった脳。正しくは『俺は性格が悪い。 (EDGE COMIX)』。四宮しの。 登場するのはだいたい大学生たち。連作、群像劇。 だから院生がでてきたりほかのカップルのエピソー…

〈ま、たぶん、生きてることなんてフリースローみたいなもんだ。バスケットしに高校行ってる俺にしたって、工場に勤めてるタカオにしたって。/はいるかもしれないし、はずれるかもしれない。で、これが大切なんだろうけど、はいんなくったって、いいんだ〉  「セカンド・ショット」

川島誠の短編集『セカンド・ショット (角川文庫)』。収録されているのは「サドゥン・デス」「田舎生活(カントリー・ライフ)」「電話がなっている」「今朝、ぼくは新聞を読んだ」「セカンド・ショット」「悲しみの池、歓びの波」「ぼく、歯医者になんかなら…

(神と野獣の都)

短編集、四宮しの『色咲き (onBLUEコミックス)』。「第一話」の、他人の疵痕(きずあと)へのフェティシズムが文学的だなー、とおもう。登場人物全員が文学的な重苦しさを共有しているわけではなくて、パートナーとなるおとこの子がかんたんに、主人公…

おもいやり、記憶、引用、現実

ザカリー・シャセリオ目当てで観た『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』(2013)。おもしろかった。ザカリー・シャセリオはチョイ役だ。生け垣に半身突っこんで倒れている脳梗塞の男の足にスケボーでぶつかり、迷った末に携帯で救急車を呼ぶ。 監督、セバス…

ザカリー・シャセリオ推し

新作『レザーフェイス 悪魔のいけにえ』がひかえている二人の監督ジュリアン・モーリーとアレクサンドル・バスティロ。これまでに『座敷女』『リヴィッド』、『ABC・オブ・デス』中の「Xylophone(木琴)」。 イメージありきの、緻密さやゲーム性を欠いたや…

バグは英雄になるけれど

原題は「My Soul to Take」(2010)。ビデオスルーとなったため邦題は監督の名を冠して『ウェス・クレイヴンズ ザ・リッパー』、かえってとっつきにくい結果に。 きびきびした会話を聴いているだけでウェス・クレイヴンの映画と判る。きっかけはかんたんだけ…

The Thing

『トロール・ハンター』にでてくるトロールたちの、信じがたい種の多様さとその造作から連想したのは鼻行類、ハナアルキ。 雪のなかの未知との戦いという画は『遊星からの物体X』に通じ、トロール、ハナアルキ、物体Xはいずれもただ生きてるだけで物語を必要…