大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

(神と野獣の都)

色咲き (onBLUEコミックス)
短編集、四宮しの『色咲き (onBLUEコミックス)』。「第一話」の、他人の疵痕(きずあと)へのフェティシズムが文学的だなー、とおもう。登場人物全員が文学的な重苦しさを共有しているわけではなくて、パートナーとなるおとこの子がかんたんに、主人公に対する好感度を上げ下げするゲームっぽさを生きている。多彩である。
各話、舞台や世界観がさまざまで、読みながらいろんなことを想起する。
「第二話」は工場ではたらく子の話。ネタバレになるが一読、「紺屋高尾だ!」と胸が詰まった。工場ではたらく子のところにもどってきたおとこ。〈清太郎は バカで貧乏で正直で不器用な男を幸せにする為 なんだかエラいとこの跡目についたという〉──。愛を信じてやってくる富貴の者、という説話に弱い。


「第三話」のモノローグも好み。〈俺は正しい人たちが死ぬほど嫌いだったので〉〈俺はおかしいままでいい〉
自転車でアルバイトに行く。ギリギリの走行。それに意見してくる後輩。〈見てんなよ キメーな〉美しくもないオッサンと寝ている。〈きもち悪いのが きもちよくて〉


「第四話」は、温室。白人種とオリエンタリズム。「第五話」はロボットと人工知能と永遠と不死。
「第六話」。これは「第二話」と同工異曲また深化させたもの。
「第七話」は「第三話」のつづき。