大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

〈時々、自分の人生を「物」みたいに、客観的に考えるの〉  田村セツコ

イラストレーターとしてお仕事する前、私は銀行員だったの。周りの人はみんなすごく優しくて、でもイラストを仕事にしたいと思ったから、自分の希望で退職したの。 家族には、「愚痴は言いません。後悔しません。経済的負担はかけません」と誓って辞めたから…

「世界はわたしを娼婦にした。今度は、わたしが世界を娼婦にする」

シリーズ「声 議論、正論、極論、批判、対話…の物語 vol.3」『貴婦人の来訪』観る。初演は1956年。作、フリードリヒ・デュレンマット。 失業者あふれる町ギュレン。17歳のときにこの町をはなれた少女が、45年ぶりにもどってくる。富裕な貴婦人となって。この…

〈若い頃にお会いしていたらきっと喧嘩になったろう。そう考えると年を取るのも悪い事ではないのかもしれない〉

デビュー45周年、「夢幻紳士」シリーズは9年ぶりの刊行という刻の話題から沁みるものある。短篇という美しい形式によって養われた世界が、やわらかな奥行をみせる。 するどくなめらかな反復と螺旋。夢使いとして自他の想念に入りこむ。妖の裏を掻く。夢幻紳…

やんちゃなくろねこ、風をつくる。

『くろねこルーシー』(2012)。映画版は、テレビドラマの前日譚。陽の父・賢を主人公にしたメルヘン(猫はしゃべらない)。 迷信を信じ過ぎるために占い師として大成できない鴨志田賢(塚地武雅)。隣のブースの同業者(濱田マリ)にキャラを立てろと助言さ…

〈姉が血を吐く 妹が火吐く 謎の暗闇 瓶を吐く〉

演劇実験室◎万有引力『盲人書簡◎少年倶楽部篇』観る。高橋優太回。今村博、三俣遥河も存在感を増していた。表現や、自負はこの時代だからつよくなる。俳優よりももっとゲンミツに、万有引力という括り。ここに帰属することの徴。 森ようこ、山田桜子、内山日…

〈子馬はおじいさんにパカパカと鳴いてよびかけますが、おじいさんは起き上がる様子がありません〉

松尾スズキによる絵本『気づかいルーシー』(千倉書房)。 強烈。「気づかい」から連想されるような凪いだ話ではない。おじいさんの皮をかぶっておじいさんのふりをする、馬。それに気づかないふりをするルーシー。 あとがきで松尾スズキ、〈ルーシーと王子…