2023-01-01から1年間の記事一覧
劇団新人会『ヘッダ・ガーブレル』観る。上野ストアハウス。 新人会といっても第1回公演は1954年。俳優座から派生した新劇のユニットであり、今回演出にまわった前田昌明は1932年生まれ。91歳だ。 主演の萩原萠と、今回出演はないが永野和宏の3名で劇団新…
大きい呉服店はデパートになり、そのうち駐車場が不可欠のものとなった。都電のチンチン電車が姿を消し、歩行者天国が案出され、日本橋界隈はますます美々しい商店街となった。 安野光雅『黄金街道』。巻頭、古今亭志ん生の「黄金餅」が収められ、安野光雅の…
私の住む町で耳にできる楽器と言えば、三味線、琴、尺八程度だが、山の手の住宅街を歩いていて初めてピアノの音をきいた時には、思わず立ちつくした。 吉村昭のエッセイ『東京の下町』(絵・永田力)。幼年期の不安と感激がやわらかなままのこっている。その…
劇団東京乾電池『小さな家と五人の紳士』観る。別役実、作。演出は柄本明。 男1(矢戸一平)と男2(川崎勇人)、舞台度胸はあるけれど不器用で、人間臭い。満点の演技ではないが、そのぶんだけ演出家がどのような演出をしているのかすこしわかったような気…
『吉祥寺寄席』第58回「おめでた芸で、笑って祝う4年ぶりの再開!」行く。 演目は春風亭三朝「松曳き」、翁家和助「太神楽 おめでた芸を満喫」。仲入あって立川龍志「寝床」。 「松曳き」は“主従の粗忽”といわれるように殿様がそそっかしければ、家老の三太…
『高橋翠秋・胡弓の栞』第十三回。パンフレットに〈この度は平成十年に催しました初リサイタルと奇しくも創作を除いて同じ番組が並びました〉とある。副題は「明日へ繋ぐ」。 古曲「千鳥の曲」 本曲「鶴の巣ごもり」 創作「蝶 『荘子』による」 創作「月の傾…
【小松】都は富がある場所というふうに農村から見られているし、男をあげる場所、都市というのはだめな人間でも変身できる場所であるとも見られている。 1984年、朝日出版社のレクチャー・ブック・シリーズの一冊として刊行された『他界をワープする――民俗社…
坂上暁仁『神田ごくら町職人ばなし』。ナレーションや説明台詞に頼らず、絵によって見せる。第1巻の前半は、「コミック乱」掲載の一話完結型。ミニ番組のくっきりとした切れ味で「桶職人」「刀鍛冶」「紺屋」「畳刺し」。畳刺し以外の職人は女性だ。ページ…
劇団東京乾電池『牛山ホテル』観る。作・岸田國士、演出・柄本明。 どえらいものを観た。緞帳におおきく「仏領印度支那のある港 九月の末 雨期に入らうとする前」とさいしょのト書が縫いつけてある。リーフレットにはこれまたおおきく岸田國士の言葉が印刷さ…
『ダーウィン・ヤング 悪の起源』(演出・末満健一)観る。主演はWキャスト。大東立樹のほうを。 九つに階級分けされた街。60年前の暴動、あるいは革命がいまも話題になる。舞台は、200年続く寄宿学校。学校のそとでは、謎の死を遂げた少年の30回目の追悼式…
岸田國士「『歳月』前記」という短文には、つぎのようにある。 「牛山ホテル」は昭和三年十二月、中央公論に書いたもので、天草の方言は友人のH君を煩はしてやつと恰好をつけた。 読みづらいといふ批難をあちこちから受けたが、我慢して読んでくれた人から…
唐十郎『唐版 滝の白糸 他二篇』。収められているのは表題作と、「由比正雪」「ガラスの少尉」。 銀メガネ あたしは異化の旅を恐れ気もなく志していたのかもしれない。袋小路に追いつめた者達が、その風情を異口同音にののしった時、あたしは異化のほうきに…
唐組・第71回公演『透明人間』。紅テント、靴を脱いでの桟敷席。観客ぎっしり。 テント芝居はプロレス観戦に似て、舞台に上がる人物たちに先ず感動する。『透明人間』の初演は1990年だから、しょうゆ顔ソース顔なんて言葉もでてくる。 岸田國士戯曲賞を『少…
扉座『Kappa 〜中島敦の「わが西遊記」より〜』見る。脚本、横内謙介。 「夢」や「理想」という遙かで、みずみずしいものへの志向が中島敦にも横内謙介にもある。だからもちろん相性は好い。 横内謙介にとっての「夢」は演劇にあり、舞台をとおして語られる…
第一期 B機関 ファイナル公演『毛皮のマリー』観る。 主宰の点滅はリーフレットの挨拶を、天正遣欧少年使節団の話から始める。 備忘のために全文引用しておく。 天正遣欧少年使節団は二年の歳月と命をかけて欧州に渡り キリスト教の洗礼を受けた 同時期、同…
『嘘八百 なにわ夢の陣』観る。監督、武正晴。脚本は今井雅子と足立紳。 お正月映画として定着しつつある三作目、すでに関係は構築できているので物語がぐんぐんうごく。 冒頭は、麿赤兒の紙芝居。こんなところから嬉しい。そこで語られる太閤秀吉のお宝にあ…
『ジャニーズカウントダウン 2022→2023』。 Hey! Say! JUMP「ファンファーレ!」(2019)からスタート。15周年ということもあるけれど、つづくなにわ男子「初心LOVE」(2021)とともにキラキラ、王道のアイドル感が嬉しい。 となればSnow Man。「ブラザービ…