大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

ケビン・コルシュ&デニス・ウィドマイヤー監督映画

リメイクされた『ペット・セメタリー』(2019)、出演はジェイソン・クラーク、エイミー・サイメッツ、ジョン・リスゴー、アリッサ・レヴィン、ジェテ・ローレンス。 スティーヴン・キング原作の、民話的古典。「忠告」や「禁忌」を越えてしまう物語。 恐怖…

「悲しみは、にんげんの自由をうばいます。関節炎よりも、もっと」

「脇道に反れるのも、手品もなし。薬物もなしです」 1906年を舞台にした『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』(2018)。20世紀初頭のコスチュームプレイということもあってか、画や演技に保守的なところがある。現在は観光スポットのウィ…

「『劇団を売らなきゃいけない』みたいなことを言い訳しながら、ホントはじぶんが売れたかったんだろうし」  三宅裕司

『達人達』、三宅裕司とレキシ。ナイツとハンバート ハンバート回から。 「劇団つくって。劇団だけじゃ食っていけない。みんなが食っていけるには、だれかが売れなきゃいけない、よし、じゃ絶対売れてやろうってことで、どんどん売りこんで、で、やっと仕事…

(天使が見たもの)

2019年の90分映画。邦題は『ゴーストホーム・アローン』。美 少年のように繊細なタイトルで、半角やナカグロの意味なんてことをかんがえてしまう。 暗闇が怖いおとこの子、ということ。そして外からの侵入者はいない。「ゴースト・ストーリー」でも『ホーム…

「仲良し一発屋芸人の3人」

『ボクらの時代』はリモート収録で山田ルイ53世(45)、コウメ太夫(48)、スギちゃん(46)。山田が「(リモート収録の)テストケース」、スギちゃん「どん底の、番組的にも危機的状況だから呼ばれたんだよ」。 それぞれの過ごしかた。2歳の子がいるスギち…

ジュリーとゼリー

韓国映画『クワイエット・ファミリー』のリメイク、『カタクリ家の幸福』(2002)。監督、三池崇史。作品内容が暴力的でもあるけれど、撮りかたもまた乱暴で、しかし手堅い。 三池映画は出来が良くないときもままある。それでいて、キャスティングはつねに魅…

日活ヤクザバンパイア

『極道大戦争』(2015)。主演市原隼人。監督三池崇史。小ネタのオンパレードでたとえば出番の多いでんでんがケーシー高峰みたいなホワイトボードレクチャーするとか、三池崇史のセルフパロディがいろいろあるとか(タイトルも中身も『妖怪戦争』なのだし)…

「かわいい」のこと

遅ればせながら、和山やま『夢中さ、きみに。』。書影はずいぶんまえから気にしていたが「手塚治虫文化賞(短編賞)とりましたよ! 試し読みもできますよ!」と年下の友人から推されるかたちで、やっと。 単行本は林くんが登場する4篇と、二階堂くんがでてく…

〈そして、兵営の外の世界のやりきれない暗さが、僕の皮膚をふたたび染めはじめているのに気付くのだ〉  吉行淳之介「藺草の匂い」

短篇集。吉行淳之介『焔の中』。えがかれているのは昭和十九年、二十年。敗戦まぢかの日本だ。 「僕」を形成しているのは虚弱な身体と、あこがれ。逞しい男性像へのそれはない。十全ではない身体が欲するのは、女体だ。 まさに吉行淳之介のテーマだけれども…

「おまえは学ぶことを怠るな。一日一冊は本を読みなさい」

ぼくはずっと バットは野球をするためにあるんだと思っていた。 投げられたボールを、 打つためにあるんだと… でももしかしたら 逆かもしれない。 もともとは ボールじゃないものを たたいていたんじゃないか? 吉野朔実(1959−2016)による『ピリオド』第1…

(ショックやったなぁ…仕事とか夢とか 諦めなあかんこともあるんや…)

オトクニ『広告会社、男子寮のおかずくん』第5巻。 巻頭は、タニタ食堂の話で、めずらしく固有名詞がでてきたと読み進めれば、外食で肉料理をシェアした奇縁とあとがきに書かれていた。偶然を語れる明るさが佳い。 ほかにも大手を離れ、中小に転職した話や、…

一九七九年の名作劇場

TOKYO MX で『赤毛のアン』がはじまった。アニメ『映像研には手を出すな!』や志村けんとパンくんの残影のなか視聴する。想像力と友情をあつかう。何周目のアンだろうか。とにかく泣く。おもいだしただけでも泣く。 初回は「マシュウ・カスバート驚く」と「…

「にんげんになれなかったじぶんを恥じるように、ひっそりと去っていく」

『泣き虫しょったんの奇跡』(2018)。主演は松田龍平だが、早乙女太一、妻夫木聡、染谷将太、永山絢斗、野田洋次郎、渋川清彦、上白石萌音、新井浩文その他、新進の二枚目だけでも大勢でていて、しかし将棋の、奨励会の話だからみんなで幸せになることはで…

〈平和の蔓延〉

劇団スーパー・エキセントリック・シアター 40周年記念公演『ピースフルタウンへようこそ』。 オールドファッションな台本は、吉高寿男。ゆるくて、アドリブを許容するようなつくりだけれど、そこに物語のカギがあったりする。 冒頭、三宅裕司が「あなたいま…

なにもしゃべらず撮られているのも、よいところ

髙木雄也を目当てに『GQ』2020.4。 表紙にBAD HOP。それを機縁に今号のあちらこちらにHIP HOPの有望株が登場している。さなり。Rude-α。みんな若くて頼もしい。 そんなふうに眺めていくと、髙木雄也があらわれた。あどけなく撮れている。かわいい。タッパが…

よい歪み、わるい歪み。

『嘘八百 京町ロワイヤル』観る。とても良かった。 深すぎない。ダレない。監督は武正晴。脚本・足立紳、今井雅子。脚本家によるノベライズはPARCO出版から。アツい。 前作『嘘八百』は堺市、今作では京都市の協力があった由。ロケ地スタッフキャストなど。…

(大事な人の大事なもの 大事な思い出なんだ 守んなきゃ──)

ゲイ友の、肉会。 三柴信司 28歳 印刷会社営業 夢中になれる 仕事に 打ち込んで 休日はジムに フットサル だけど 俺には 人には秘密の やめられないことが ひとつだけ 暴食すること! ダヨオ『肉食組曲』第1巻。気持ちが好い。理屈をこねずに、しかもひとよ…

「呪いによって生かされている」

ホラーというほどの現代性はない。ゴシックホラー。サスペンス寄りのダークファンタジー。『ダーケスト・ウォーター』(2017)。原題は「The Lodgers」。 舞台は1920年、アイルランド。さいしょの印象は『嵐が丘』。広い屋敷が窮屈でたまらない、という感覚…

カッター。

楽園王、長堀博士演出によるウジェーヌ・イヨネスコ『授業』観る。2004年の利賀演出家コンクールで優秀演出家賞を受賞し、再演をかさねている作品。 ダブルキャストのTEAM.Aを観劇した。教授は岩澤繭、マリーに小林奈保子。生徒1 日野あかり、生徒2 杉村誠…

「僕はやんちゃじゃないと思います。めちゃめちゃ真面目。それに、セクシーでもない」  平野紫耀

『ViVi』2020.3、「クラクラするまで平野紫耀」。 若き日の、木村拓哉のようなものだ。なにも、言うことがない。宿した色気を讃嘆するか、シッシするかのどちらかだろう。 批評を必要としない。ひとの願いや未来とも無縁。それが美しさなのだけれども、声を…

(実況者だけど リスナーの誰にも見せない秘密の部屋を作ってしまった)  『恋の実況配信はじめました』

さかもと麻乃『恋の実況配信はじめました』。ゲームなどの動画配信、その設定ならではの密室性をさらりと入れてくる。各話きちんと見せ場もある。甘酸っぱい十代。前戯よりももっと手前でみるせかい。 実況者の「ダクト」と「あめる」がすぐにはバディになっ…

「僕も何かを観て感動すると、まず歌舞伎に生かせないかな、と考えます」  市川染五郎

『婦人公論』2020.1.28。表紙は松本幸四郎、市川染五郎。そこからなにわ男子まで。賑々しくて良い号だった。 特集「さぁ、幸運を呼び込もう」はさまざまなひと。美輪明宏は「病院に限らず、思えば現代の日本は、情緒産業がすっかり衰退してしまいました」、 …

「天然で済めば僕も可愛いもんだなと。実際は天然じゃ済まないくらいなので。もっと勉強して、知識を増やしたいです」  岸優太

『シュプール』2020.2、岸優太。 シンメやカプといった愛でかたに倣うと、岸優太×岸優太というかんじ。だれかといるのもいいけれど、ひとりで立っているところも佳い。ドラマ『お兄ちゃん、ガチャ』の透明感や、Prince期・じぐいわのとなり、というおにいち…

〈彼らは二人で笑いあいつつ、ある共通の考えの中で次第次第に結びついていった。つまり、自分たちの性別の破壊という考えだ〉  ラシルド「ムッシュー・ヴィーナス」

シンポジウム「『フランスBL小説セレクション 特別な友情』刊行記念 仏文×BLのただならぬ関係」に行く。 このアンソロジー『特別な友情』は、映画『悲しみの天使』の原作であるロジェ・ペールフィット『特別な友情』の本邦初訳がウリなのだけど、抄訳にとど…

「ぼくはいったい何をカッコつけてたんですかねえ」

『BS笑点ドラマスペシャル第2弾 五代目 三遊亭圓楽』観る。 円楽を谷原章介、立川談志に駿河太郎。五代目円楽の堅苦しさ、談志の危なっかしいところがよくでている。 美談、失敗談のならぶ予定調和の青春物語に終わらず、社会と戦い、越えていく。 さいしょ…

〈日本はかくも狭い国である。運命もくそもないのである〉  西東三鬼

昭和十七年の冬、私は単身、東京の何もかもから脱走した。 さいしょの一行からゾクゾクする。逃げだす者がおぼえる陶酔を想うと昂奮してしまうのだ。 「私」は神戸にいた。〈街の背後の山へ吹き上げて来る海風は寒かったが、私は私自身の東京の歴史から解放…

純愛。騎士道的な。どこか虚言のけはいもある。

大人計画『キレイ〜神様と待ち合わせした女〜』を観て連想したのは『華麗なるギャツビー』。 《ケガレ》《まなざし》《花》といった。 成就しない。それなのに完成はある。

「なんだか、最近のお金持ちは宇宙に行きたがりますもんね(笑)」  松尾スズキ

松尾スズキがシアターコクーンの芸術監督に就任し、4度目の再演となるミュージカル『キレイ 神様と待ち合わせした女』。大人計画。初演の2000年から、ばしょはコクーンときまっている。 その歴史、関係性、初演執筆時のポテンシャル、モチベーションなどが旨…

〈街の空 空の街 空見れど 空見れど〉

少年王者舘『アサガオデン 劇場版』観る。 野外で行われたダンスパフォーマンスを、スズナリの劇場に。新たに落語を盛りこんだ。 振付・夕沈、演出・天野天街、音楽・珠水。生演奏・坂本弘道。落語台本・河井克夫。 呼ばれているのはアリスかとおもったら、…

「寺の符牒は噺家が考えたんじゃねえか?」  蒟蒻問答

『スペース・ゼロB1寄席』行く。出演は春風亭一猿、神田すず、三遊亭わん丈。 春風亭一猿のマクラで聴いた都電落語会の話に胸詰まる。 都電落語会の運営は林家こん平事務所によるもので、車内のことゆえ楽屋なく、演者のすぐそばに林家こん平師匠がいる。若…