大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

俳句

〈常識はどこまでいっても常識、詩にならないのです〉  藤田湘子

自然はまぎれもなく生きてうごいているから、その中から何かを発見するよろこびも、またかぎりがないんですね。それだから、一年はアッという間。しかも精神的にひじょうに充実した一年を過ごすことができて、五年と言い十年と言っても、けっして永い歳月と…

〈屋根の間をゆるゆると鷲だ〉  岡田幸生

岡田幸生の句集『無伴奏』。はじめに刊行されたのは1996年。文庫サイズの新版を、御本人から買うことができる。 「序」で北田傀子が書いている。 〈短時日のうちに随句(自由律俳句)というものの、いわば息遣いがのみこまれたようで、私は目を見張る思いが…

〈あづさゆみ春の真昼の下り電車口あけて狐型美少年眠る  酒井佑子〉

白露に薄薔薇色(うすばらいろ)の土龍(もぐら)の掌(て) 川端茅舎 蟻と蟻うなづきあひて何か事ありげに奔(はし)る西へ東へ 橘曙覧 〈『うたの動物記』は二〇〇八年十月から、二〇一〇年十月まで、日本経済新聞の毎日曜の文化欄に連載されたエッセイで…

『あんのリリック』後編

『あんのリリック 桜木杏、俳句はじめてみました』後編。 夏川結衣演じるクリエイティブディレクター・塔矢ローズゆりのもつ温情と残酷さがいいかんじ。翻弄される昴と杏。 昴は、先輩の神谷(毎熊克哉)から「そもそもおまえは、あの子を連れ回して、どう仕…

『あんのリリック』前編

ドラマW『あんのリリック 桜木杏、俳句はじめてみました』。脚本・荒井修子、監督・文晟豪。原作小説にいくつものドラマを盛りこみ、見ごたえがあった。 原作でも象徴的だった〈優しさはときにはみ出し桜もち〉の句がきれいな導入である。 桜木杏(広瀬すず…