大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

2018-01-01から1年間の記事一覧

一年前の『週刊少年サンデー』、となりに。

アイドル雑誌とちがうのは、記事が断片として終わることなく起伏をもち、はっきりと承認をもとめているということ。King & Prince、『週刊少年サンデー 2019年4・5合併号(2018年12月26日発売) [雑誌]』 。 永瀬廉が座右の銘を聞かれ「マザー・テレサの『思考…

なんどでもながめる。

「これだけはやめられないことはありますか?」 「動物の咀嚼音を聞くこと。たぶん僕って音フェチで(笑)、落ち着く」 『メンズノンノ』2019年1月号、平野紫耀。 「寝る前は何をして過ごしていますか?」 「ラクダがサボテンを食べる動画にハマっていて、そ…

二〇二〇年に、二〇日連続公演をする由

桂文珍独演会『一期一笑 ジャパンツアー』行く。 開口一番は桂文五郎「延陽伯」。丁寧で標準語寄りな文珍師とちがい、はっきりした大阪のことば。熱演で、上方落語の会に来たんだあと嬉しくなる。 「延陽伯」は東京でいう「たらちね」。馬鹿丁寧な口調のおか…

毒蝮三太夫が席亭の『マムちゃん寄席』(第十五回)に。 出演は林家二楽(紙切)、松元ヒロ(漫談)、神田松之丞(講談)。仲入あってナイツ(漫才)、毒蝮三太夫と玉袋筋太郎の対談、さいごに春風亭一之輔(落語)と、豪華。 TBSラジオつながりと言うことも…

「夏休みにガラッと人生変わった」 井森美幸

井森美幸が好きなので、ゲストで登場の『裸の少年』悶絶。 井森美幸と平野紫耀が似ていることに気づく。二人とも笑みを絶やさずに、しゃべる。ひとに優しく生きようとしている。 吉田戦車の短編の一つに「戦え! 井森美幸」というのがあったけれど、いま電子…

光の如く

永遠と、どのように向き合っていくか。そのやりかたのひとつに《Sexy美少年》というグループ名があるのだとおもった。 少年隊のように、素っ気ない。普通名詞に近くて、だけどしらべればちゃんと釣りあげられるぎりぎりのところを攻めた固有性。 《Sexy》は…

〈奔放で軽やかな オレとは正反対の男なら〉

この読後感の良さはなんだろう。ジョゼ『from 2DK』。3編。それぞれに描き下ろしのみじかい後日譚。 BLだからこそ、まだゲイ関係にないおとこの子たちの同居生活をえがける。なにも起こらないのに、クローズアップされる。描写される。 ひとと暮らすのに、き…

「若菜 オレ喜ばすのうますぎる お前の言葉ウソがないから」

佐藤龍我と高橋恭平! とおもいながら読んだ。BLに、こういう取り乱しかたをしたのは初めて。ジャニーズJr.をかさねるなんて。 肌の匂いと体温。なまなましさがあるのは、省略が効いているせいだろうか。裸を描くのも上手い。 濡れ場はすくない。ノンケが、…

「青二才の傲慢さほど、醜いものはない」

冒頭で桂文枝、オール阪神、ジミー大西、笑福亭鶴光など芸人わらわら現れて、キャストがにぎやかなだけの映画かとかるく観はじめるが、なかなか、どうして。 映画『のみとり侍』(2018)。原作は小松重男(1931−2017)の短編集『蚤とり侍』。 助平だけでは、…

〈一人ぬけた二人ぬけた三人ぬけた四人ぬけた五人ぬけた 青空には だれもいなくなっちゃった〉

演劇実験室◎万有引力『狂人教育』観る。万有引力を、ずいぶんながいこと観ていなかった気がする。あるいは多忙といくつかの冷淡な批評のためにわすれてしまっていたのかもしれない。 しかし素晴らしい出来だった。さいきん万有引力を観ているというひとにチ…

「一度こうしようって決めたら、やらないと気が済まない。それでダメなら、早く次の道を考えたくて」

雑誌で見るとかっこいい。うごくところはかわいらしい。それがジャニーズかなあとおもう。 「プレッシャーを感じている顔でお客さんの前には立てないし」と平野紫耀。大人たちはこのひとの闇を見定めて愛でる。 『アンアン』。平野紫耀「掴みたい、掴めない…

〈人はただ初一念を忘れるなと申し上げとうござります〉  大石内蔵助

写真・操上和美、文・新井敏記。八代目 市川染五郎『儚』。 舞台に立つと、自分の声がよくわかります。 声変わりは辛かった。 父からは、「自分も他の役者さんも 通ってきた道、病気ではないので 安心して演(や)りなさい」と言われました。 ものごころつい…

語られぬところにも欲望はある

老女が、煙草を吸う。だれにもたよらぬ気むずかしさをみるようで、出だしからかなしい。それでもここまで生きてきたのだ、というところに救いもある。 スウェーデン映画『サーミの血』(2016)。十代のときの家出と、恋。 観光客相手の職業性や、文化人類学…

「もう後戻りはできない。新天地に行くか、川に沈むか」

『レミングスの夏』(2017) えがかれるのは、14歳の夏。それを18歳の「僕」が回想するかたち。ある復讐を達成し、「僕」は待っている。 「僕」の名はアキラ(菅原麗央)。おもいだすのはナギ(前田旺志郎)のこと。 前田旺志郎が好い。「行動力」と「迷い」…

〈RPGゲームの『竜に誘拐されたお姫さまを助けたい』ってのは、大きな目的だ。でも、こいつ(中ボス)を倒したいとか謎を解きたいとか、具体的な目的は、そのたびに変わるんだ〉

鴻上尚史『鴻上尚史の俳優入門 (講談社文庫)』。2006年にでた『俳優になりたいあなたへ』に「おまけ 台本の創り方」、高橋一生との対談「原点は『お芝居したい』という衝動」を加えた文庫版。本編は「僕」が、新幹線のなかで高校生のユキちゃん、マサシ君と…

〈泥だらけの野菜の目で今の自分を見てみたい〉  「不機嫌な妻」

谷川俊太郎の詩集『夜のミッキー・マウス (新潮文庫)』。2003年の詩。そこから4年前、8年前の詩。谷川俊太郎は1931年生まれ。 それにしては攻撃的だとおもう。詩人というのはそういうものなのかもしれない。 そのなかで、どちらかといえば穏便な箇所が沁みた…

「──て これ…俺の心臓の音か…!?」

「学び飯」として芸能界の先輩から話を聞くジャニーズJr.の『裸の少年』がおもしろい。性差はあまり問題とされず、どのように苦労したか、生き延びたか。柴田理恵、田中律子、森公美子など、めいめいに歩みがある。 その道をHiHi Jetsや東京B少年の子らの未…

日之出出版のまえをとおる

『FINEBOYS(ファインボーイズ) 2018年 10 月号 [白シャツとチェック柄の教科書!/中島健人]』。おおきな、中島健人。

「姥捨山(おばすてやま)で狸の餌食になりそうな見かけだが、口は新品の剃刀みてえなばあさんだな」

井上ひさし『黙阿弥オペラ (新潮文庫)』。 こまつ座の舞台は一度も観たことないが、戯曲には触れる。ゆるみがなく、みごとというほかない。 ト書が物語を俯瞰している。これは演者や読者にとって親切。さいしょに示されるのはつぎのとおり。 とき 嘉永六年(…

2013年から 断続的に つづいている 黄泉路の物語

(BL描写なし)藤たまき『黄泉路喫茶コヘンルーダ (ウィングス・コミックス)』。サスペンス。謎多きオトコたち。 中心となるのは、霊が視える彩達(さいたつ)。 昼も夜も 目を閉じて いても それは いなくは ならない 藤たまきによる、節度あるオトコっぽい…

「誕生日が父親の命日 誕生日なんて なければいい」

韓国ドラマ『君を守る恋』(2013)。ある事件に巻き込まれ意識不明だった警察官シオン(ソ・イヒョン)。かの女が目を覚ましたとき、霊を視ることができるようになっていた。 さまざまな事件のアドバイスを霊がしてくれるわけではなくて、霊によって、事件の…

「親父が言ってたっけ。『味は見た目だけではない』」

武正晴監督『カフェ・ソウル』(2009)。脚本(金杉弘子)は甘いところもあるけれど、カメラワークがしっかりしている。 追いかけっこがはじまったり(『嘘八百』)、育ったばしょがおんなじだったり(『百円の恋』)と武正晴監督らしいばめん、傾向をかんじ…

「『骨董品』になったら、また店においで」

中井貴一と佐々木蔵之介がならぶ『嘘八百』。包容力と胡散臭さをもつ二人。大阪で、骨董品をめぐるコンゲーム。 出演者が皆胡散臭さをまとっている。近藤正臣、芦屋小雁、木下ほうか、坂田利夫……。その辺りでじゅうぶんにおどろけるが、桂雀々まででてくる。…

「…いつからそういうこと言うようなヤツになった?」

イシノアヤらしからぬ表紙の『アイ・ドント・クライ (上) 【電子限定おまけ+アマゾン限定特典付き】 (バーズコミックス ルチルコレクション)』。たおやかな、男子アイドル然とした顔。ほかの人物たちとは描きかたが異なる。それで華がある。 アイドルも、バ…

もう一回くらい観たい…

渋谷VUENOSでK-POPバンド、IZ(アイズ)のライブを観た。 入場料5,000円に1ドリンク600円。ドリンク代のみで入る方法もいくつかあるようだ。 2017年8月31日に韓国でデビュー。今回、初来日。渋谷、表参道、池袋でライブする。今週末の土曜日まで。 きれいだ…

〈地球にうまれた生き物は、いつか絶滅する運命。むしろ、生き残ることのほうが、例外なのです〉

タイトルが良い。雑学系の、なんとなくヒキをツクる見世物小屋的胡散臭さではなく、着地しているタイトル。『わけあって絶滅しました。 世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』。 章立てで、さまざまな絶滅がならんだあとに「絶滅しそうで、してない」。ウ…

刑事(成田浬)のばめん、演出がシュールで良かった。

B機関『大山デブコの犯罪』観る。ザムザ阿佐ヶ谷。 B機関を主宰するのは舞踏家・点滅。ゆえに舞踏パートは滅法良い。 点滅の腕や背なか、ほかの俳優の何名かもボディメイクを施されていて、これが現代的な意匠というか、ポップで繊細で、画家(吉澤舞子)に…

片桐はいりをサブカルに押しこめようとする力

オムニバス4編。合わせて40分ほど。『片桐はいり4倍速』(2009)。 1本目の「受験生」は、蒲田在住の受験生が片桐はいりをときどき見かける話。 「あ、片桐はいりだ」 生活圏が一緒なのだ。だからどうということもない。地元でよく見る芸能人。そのためにリ…

〈あまりに得体の知れないものに出会うと、喜びすら湧きあがる。狭く思えた地球が果てしなく広く感じられる。この世にはまだわたしが知らない味がある! そう思ったら、なにやら胸がときめいた〉

あくまでも出張中の横道道中である。しかも、はじめての作文。当たりはずれも大いにあろうが、福袋をあけるような気持ちでお読みいただければ、とても幸せである。 片桐はいりの本を初めて手にする。吃驚した。絶品。映画『かもめ食堂』の余録のようなかたち…

たまに日之出出版のまえをとおる