大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「──て これ…俺の心臓の音か…!?」

アイ・ドント・クライ (下)  【電子限定おまけ+アマゾン限定特典付き】 (バーズコミックス ルチルコレクション)
「学び飯」として芸能界の先輩から話を聞くジャニーズJr.の『裸の少年』がおもしろい。性差はあまり問題とされず、どのように苦労したか、生き延びたか。柴田理恵田中律子森公美子など、めいめいに歩みがある。
その道をHiHi Jets東京B少年の子らの未来にそれとなく継ぎ足してみる。その苦境や好転を想像する。そういうふうにあたまを使うのが快い。
イシノアヤ『アイ・ドント・クライ (下) 【電子限定おまけ+アマゾン限定特典付き】 (バーズコミックス ルチルコレクション)』。アイドルグープ出身、俳優に転身した姫野亜樹と、かつて担当だったマネージャーの物語。
だれかの人生が、べつのだれかの人生であるようなあたまの働かせかたをして読んでしまう。俳優とマネージャーを混交させる。二次元と三次元を混交させる。
それをさせる身近さが、姫野亜樹にはある。売れるまえにバイトしていた定食屋にときどき顔をだす。
バイト先への恋しさもあるが、交わることのなくなったマネージャーの笠原と会えないかというヒトへの慕わしさ。
生きるって純粋なことだ。必死だもの。そこに善悪はない。けれども姫野亜樹は、アイドル雑誌の水着姿を《恥知らず》と父に否定される。
姫野亜樹は、たよれる大人をもっていない。


だから、マネージャーの笠原とわだかまりがなくなり、それぞれに秘めていたあいてへの恋愛感情を暴発させる展開に感動する。おもたいものが、かるくなる。
一気にBL。そうならないかとおもっていた。