大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

バディ(男×男)

レオとルミとダーウィンと。バズとジェイとニースと。

『ダーウィン・ヤング 悪の起源』(演出・末満健一)観る。主演はWキャスト。大東立樹のほうを。 九つに階級分けされた街。60年前の暴動、あるいは革命がいまも話題になる。舞台は、200年続く寄宿学校。学校のそとでは、謎の死を遂げた少年の30回目の追悼式…

「君、これは音楽だよ。日常ではないんだ。音楽の中に定価なんて日常用品が入りこんでいいものだろうか」  『ガラスの少尉』

唐十郎『唐版 滝の白糸 他二篇』。収められているのは表題作と、「由比正雪」「ガラスの少尉」。 銀メガネ あたしは異化の旅を恐れ気もなく志していたのかもしれない。袋小路に追いつめた者達が、その風情を異口同音にののしった時、あたしは異化のほうきに…

「あなたとの、考える日々は、私には限りなく楽しかった。そうして、それを続けたかった」  魚怪先生

扉座『Kappa 〜中島敦の「わが西遊記」より〜』見る。脚本、横内謙介。 「夢」や「理想」という遙かで、みずみずしいものへの志向が中島敦にも横内謙介にもある。だからもちろん相性は好い。 横内謙介にとっての「夢」は演劇にあり、舞台をとおして語られる…

どんなにものぐさになってもこれだけは映画館で

『嘘八百 なにわ夢の陣』観る。監督、武正晴。脚本は今井雅子と足立紳。 お正月映画として定着しつつある三作目、すでに関係は構築できているので物語がぐんぐんうごく。 冒頭は、麿赤兒の紙芝居。こんなところから嬉しい。そこで語られる太閤秀吉のお宝にあ…

ひとつの場所の行間、余白。

『ショウ・マスト・ゴー・オン』。初演は1991年。脚本・演出、三谷幸喜。 代演がつづき、公演中止の日もでた令和版。配信も一度は中止になってからの、追加公演と、配信。 ワン・シチュエーションのコメディ。舞台となるのは「舞台の現場」。といって舞台上…

開演13時、終演予定15時20分。押した。

『春風亭一之輔のドッサリまわるぜ 2022』、よみうりホール。 オープニングは私服姿で春風亭一之輔。これだけで会場が盛りあがる。 開口一番は春風亭与いち「金明竹」。 一之輔は「加賀の千代」「反対俥」。仲入りあって「百年目」。 「加賀の千代」はご隠居…

(――夏休みの思い出はバイトと部活のフルコース! あっという間に溶けていった)

じゃのめ『黄昏アウトフォーカス overlap』。続編、番外編。「恋色ソフトフォーカス」「夜の空に光るもの」など。『黄昏アウトフォーカス』の「ドラマCDアフレコルポ」や『残像スローモーション』の「プロローグ」も。 真央と寿が夜に散歩をするだけの「夜の…

「こうやって何回も変更を重ねて 台本は出来上がるんですよ」

じゃのめ『黄昏アウトフォーカス』。高校の、映画製作部。 入寮初日 寒い春 初めまして よろしく と言った 俺の手を 取りもしないで 「…どうも」 冷たい目が 近づくな と 完全に閉じてた キャメラ担当の土屋真央。同室の大友寿がゲイで、付かず離れず、詮索…

「人間には、二通りあるの。……いなくなるといなくなるタイプと、いなくなってもいるタイプ」

三木聡脚本・監督『図鑑に載ってない虫』(2007)。赤塚不二夫みのある『真夜中のカーボーイ』か。悪ふざけの連続のようで、急に泣かせる。 編集長(水野美紀)に命じられ、臨死体験ルポを書くべく「死にモドキ」探しをはじめる「俺」(伊勢谷友介)。相棒と…

「親方。あっしは真ッ直(つ)ぐを貫いてますんで」  亥之吉

スペシャルドラマ『必殺仕事人 2022』。 貧しい育ちの亥之吉(岸優太)と才三(西畑大吾)兄弟。幼なじみの美代(高月彩良)。かれらに優しかっただんご屋の夫婦(小林隆、杉田かおる)。 亥之吉と才三は正義感からバンクシーならぬ「晩来(ばんくる)」を名…

地に足のついたストーリーテリング

オクイシュージ脚本、監督『王様になれ』(2019)。原案は山中さわお。the pillows 30周年記念映画。 若いときに賞こそ獲ったもののなかなか目がでない写真家志望の神津祐介(岡山天音)、27歳。叔父(オクイシュージ)のラーメン屋で働いている。 祐介が出…

「これより千六百年の休憩に入ります」

作・しりあがり寿、演出・天野天街。芸術監督に流山児祥。『ヒ me 呼』観る。 器のおおきい流山児祥と、器のおおきいしりあがり寿と、器のおおきい天野天街と。想像以上にファンタジーで、リアルで、古代で、現代だった。 物語のはじまりは現代の温泉場。そ…

「物理学者でありながら、罪に染まらず」

フリードリヒ・デュレンマット原作『物理学者たち』(ワタナベエンターテインメント Diverse Theater)観る。上演時間2時間10分。 舞台は「桜の園」という名の、いまは精神病患者の施設となったサナトリウム。 自称ニュートン、自称アインシュタイン、殺害、…

監禁の予告

『准教授・高槻彰良の推察』第7話「四時四十四分の怪」。 「見られてしまったね……。これを説明するには、いろいろ話さなきゃいけないことがある。あまり楽しい話じゃないから、できればいまはしたくない。構わない?」 無言の深町尚弥に「やっぱり深町君は…

「先生は、おれがいなくても嘘を見抜けるんじゃないですか?」

『准教授・高槻彰良の推察』第4話。 微熱で寝込んでいる深町尚哉(神宮寺勇太)。夢うつつに、不吉な祭りの太鼓の響きと、訪問者の玄関を叩く音が混じる。真ッ直ぐな演出。台本。気持ちがいい。 看病にやってきたのはもちろん高槻で、持参のアイスクリームが…

「自分に酔う日があっても、いいんじゃない?」  神宮寺勇太

『anan』2021.9.1 伊野尾慧×神宮寺勇太。 いくつも表情をつくれる伊野尾慧がきれい。「ネイルってちょっと前までは女性がするものってイメージだったけど、最近はそんなの関係なく楽しめるようになりましたよね。今日の撮影はそういう自由な時代の到来を実感…

(出た…! 粉もんになると出てくる奉行おかずちゃん…!)

オトクニ『広告会社、男子寮のおかずくん』第7巻。完結。 あたたかくって、品がある。大阪弁の小説を読んでいるようで好きだった。 おまけの4コマパートにでてくる「たこせん」大阪のそれは「えびせんにたこ焼きをはさんだやつ」で、「想像どおりの味だ〜…

「きみはもう、ここの人間だよ。ここのコーヒーを飲んだだろ」

ドラマ『准教授・高槻彰良の推察』、びっくりするくらいおもしろい。 いくつもの挿話を並走させぬシンプルな語りゆえに、原作小説からのコミカライズ、さらにドラマ化という整理、洗練が意味をもつ。佳く刈りこまれている。 「TV LIFE」伊野尾慧の「神宮寺君…

「怪異っていうのは『現象』と『解釈』のふたつによって成り立っているんだよ」

「解釈をするときは気をつけないといけない 下手な解釈は現象そのものを歪めることがあるから」 原作・澤村御影、漫画・相尾灯自。『准教授・高槻彰良の推察』のコミカライズ、第1巻。 民俗学には「僕が調査に行ってしまったがために 何の土地的根拠もなく…

「ミステリーじゃなくてラブコメかな? と錯覚します(笑)」  神宮寺勇太

インパクトある表紙だった。撮ったのは田中和子(CAPS)。伊野尾慧と神宮寺勇太が連続ドラマ『准教授・高槻彰良の推察』。 個体差としての「かわいい」が身につくのは三十路のころかもしれない。磨きをかけた伊野尾慧が凄く、ドラマのなかで助演として輝くだ…

画も声も清潔。

BL長編アニメ『海辺のエトランゼ』(2020)。紀伊カンナ原作。 舞台は沖縄の離島。母を亡くして孤独な実央(松岡禎丞)×ゲイだが未経験の小説家・駿(村田太志)。 恋愛感情なのかどうか語られることこともなくするりと三年後の再会。「理由なんかいいんだよ…

排除する思春期

『プリンシパル〜恋する私はヒロインですか?〜』(2018)。原作・いくえみ綾。監督・篠原哲雄。脚本は持地佑季子。 若き日におとずれる好意の変遷。2時間の映画だからエピソードは省略される。あいてをいつ好きになり、どこで好きでなくなるか。そこにあま…

マヒ×ヒロ

『散歩する侵略者』(2017)の衝撃は高杉真宙だった。浮世ばなれした美少年。 長澤まさみと松田龍平が演じる、壊れつつあった夫婦の愛の物語だが、あんがい高杉真宙と長谷川博己のドラマでもあった。 ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は宇宙人を名のる天…

6と5

『文豪少年! 〜ジャニーズJr. で名作を読み解いた〜』。 好きだった子をさらに愛でるようになったり、ここきっかけの出会いがあったり。 第6話の深田竜生に胸射抜かれた。それはさいしょの喫茶店から。 「ホントなんもないっすね」 「どうぞ、お好きな席へ…

十朱大吾 斧田駿 中村雪

曽田正人 冨山玖呂『め組の大吾 救国のオレンジ』第1巻。飛び抜けた主人公に、助演の生ま生ましい感情。読んで良かった。 “狭き門”をくぐるにはグレーやブラック、あるいはもっと不可解な色を経ることがあるかもしれない。そのときのヤバさというかアツさ。…

言葉遊びする生きものたちの可愛さ

矢川澄子訳、金子國義絵。ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』。 さいしょに夢中になったのは河出文庫(高橋康也・高橋迪訳)で。ジョン・テニエルによる挿画、人間が皆グロテスクに描かれていたのも好かった。 そこからさまざまな版や研究本へと手が伸…

〈刑期は、三万年〉

朝、観ていた『魔神戦隊キラメイジャー』ではヒーローたちが猫にされた。猫となった充瑠(小宮璃央)は純粋で、敵であるはずのクランチュラ(声・高戸靖広)とも一時、甘やかな友愛が生まれた。おなじ作り手として、という説明があったけれども、かってに読…

「これほしい!」「匂いフェチの不良か 変な子だな」

ダヨオ『ロンリープレイグラウンド(上)』。 妻子あるサディスティックな中年男やその家庭を壊そうとした雪文という、重い設定だけれど、過去のすべては悔いとして清算されるし、みんな人が好いから絶望はやってこない。 はじまりは、町中華で働く慧介。気…

「あいつチャイムが鳴るとどっか行くんだ 真面目だったから 授業でも受けに行くのかな」

ジョゼ『さまようまぼろし』。 建物の取り壊しが延期されるよう、七不思議をでっちあげていく。そこへ幽冥の者が現れて、という出だしに映画『ビリケン』を連想する。 綺麗な用務員さんと、生徒会役員の「僕」と、その兄。人物が出揃ってから、淡い恋ごころ…

「心に余裕があるうちは、意味のないことをしていたいんです。きっと今しかできないから」

テレビドラマ『夢中さ、きみに。』。和山やまの原作はフラットで、真顔の陰キャたち。ドライに科白していくほうの青春だから、ドラマ化には不安もあった。が、愚直といえるほど原作に忠実な台本や、高橋文哉と坂東龍汰のみごとな演技(「うしろの二階堂」)…