大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

バディ(男×男)

アレクサンドリア、世界の結び目。

「ナショナル・シアター・ライブ」の『アントニーとクレオパトラ』(2018)、二人の死が語られるラストを冒頭にもってきたので、おどろいた。そういういじりかたを、予想していなかった。 『アントニーとクレオパトラ』が書かれたのは四代悲劇のあと、比較的…

あくまのじてん。

『ViVi』5月号にKing & PrinceのA to Z。ちいさな辞書。 「B」には「バカ(笑)。6人それぞれみんなバカ。キンプリを一言で表すならバカ」と永瀬廉。かれらは、岩橋玄樹がいるはずの空白をかならず意識させる。それはすごいことだ。不在であるとかんじさせず…

『少年たち』

映画『少年たち』観た。美しかった。胸を衝かれた。 物語の理想としては、環境から切り離された個性によってドラマが展開するべきだろうとおもうけれども、少年という概念は飢餓感や孤独を呼び寄せずにはおかないわけで、映画らしくいくらか話の筋をみせるた…

〈表面だけ演じることで わかってないふりをしていたかった〉

PEYO『ボーイミーツマリア』、BL、すごかった。 生きのびるために「薄っぺら」な反応をしていくことをえらんだ大河(たいが)が、女装する演劇部員・優(ゆう)と出逢う。それこそ「薄っぺら」に、どこまでもつづけられそうなラブコメとして展開するのかとお…

ぜんぶわすれたくなること

志村貴子『さよなら、おとこのこ』第2巻。 ぜんぶわすれたくなるとき、たぶんある。すべての関係を絶ちたいとか。その表れの一つとして、子どもになりたいとねがうというか、子どもになってしまう。 心の声というやつもでてくる。ナチュラルな絵だから舞台設…

ミ・エスタス・インファーノ……(私は子どもである……)

舞台のチケットと縁なく、ときに主演の松田龍平を想いながら読む。松田龍平が宮沢賢治というのは大胆なイケメン化のようにもおもうけど、茫洋としたかなしみはあんがいぴたりと合ったのかもしれない。 井上ひさし『イーハトーボの劇列車』。前口上に、こうあ…

松尾芭蕉と温泉

嵐山光三郎『奥の細道温泉紀行』。テレビ番組で「奥の細道」自転車走破を企んだり、月刊『太陽』で「温泉・奥の細道」を取材したり。それらを再構成したかたちで、この本がある。 〈芭蕉は旅の魔術師である。(……)これは、旅をドラマに化けさせるマジシャン…

〈結論めいたことを言ってしまえば、日本人には「悠長なシステム」を構築して、洗練された「時間の無駄使い」をする才能があるのです〉

橋本治が亡くなった。2019年1月29日。 「橋本治」という一人の書き手としてはまだまだ進んでいけたとおもうし残念だけれど、どれだけ長生きをしても接ぎ木する若手は現れなかったことだろう。エピゴーネンばかりだ。 橋本治の本を読んでいくしかない。その断…

「ボクあの手法は好きやないなぁ…」「何?」「脅迫系」

オトクニ『広告会社、男子寮のおかずくん』。好きで読んでる。温かなリアリティ。おかずくんがゆるやかに関西人で、大しておもしろいことも言わぬなど、レッテルからの逸脱が、関係性を生んでいる。 感情の濃淡がひとそれぞれにあるだけで、俯瞰すれば皆おな…

〈奔放で軽やかな オレとは正反対の男なら〉

この読後感の良さはなんだろう。ジョゼ『from 2DK』。3編。それぞれに描き下ろしのみじかい後日譚。 BLだからこそ、まだゲイ関係にないおとこの子たちの同居生活をえがける。なにも起こらないのに、クローズアップされる。描写される。 ひとと暮らすのに、き…

「若菜 オレ喜ばすのうますぎる お前の言葉ウソがないから」

佐藤龍我と高橋恭平! とおもいながら読んだ。BLに、こういう取り乱しかたをしたのは初めて。ジャニーズJr.をかさねるなんて。 肌の匂いと体温。なまなましさがあるのは、省略が効いているせいだろうか。裸を描くのも上手い。 濡れ場はすくない。ノンケが、…

「──て これ…俺の心臓の音か…!?」

「学び飯」として芸能界の先輩から話を聞くジャニーズJr.の『裸の少年』がおもしろい。性差はあまり問題とされず、どのように苦労したか、生き延びたか。柴田理恵、田中律子、森公美子など、めいめいに歩みがある。 その道をHiHi Jetsや東京B少年の子らの未…

2013年から 断続的に つづいている 黄泉路の物語

(BL描写なし)藤たまき『黄泉路喫茶コヘンルーダ (ウィングス・コミックス)』。サスペンス。謎多きオトコたち。 中心となるのは、霊が視える彩達(さいたつ)。 昼も夜も 目を閉じて いても それは いなくは ならない 藤たまきによる、節度あるオトコっぽい…

「親父が言ってたっけ。『味は見た目だけではない』」

武正晴監督『カフェ・ソウル』(2009)。脚本(金杉弘子)は甘いところもあるけれど、カメラワークがしっかりしている。 追いかけっこがはじまったり(『嘘八百』)、育ったばしょがおんなじだったり(『百円の恋』)と武正晴監督らしいばめん、傾向をかんじ…

「『骨董品』になったら、また店においで」

中井貴一と佐々木蔵之介がならぶ『嘘八百』。包容力と胡散臭さをもつ二人。大阪で、骨董品をめぐるコンゲーム。 出演者が皆胡散臭さをまとっている。近藤正臣、芦屋小雁、木下ほうか、坂田利夫……。その辺りでじゅうぶんにおどろけるが、桂雀々まででてくる。…

「…いつからそういうこと言うようなヤツになった?」

イシノアヤらしからぬ表紙の『アイ・ドント・クライ (上) 【電子限定おまけ+アマゾン限定特典付き】 (バーズコミックス ルチルコレクション)』。たおやかな、男子アイドル然とした顔。ほかの人物たちとは描きかたが異なる。それで華がある。 アイドルも、バ…

「なかちゃんはさー なんで映画同好会入ったの?」「……ウチの大学LGBTサークルあるの知ってる?(……)会員募集の張り紙のノリが……合わなくてさ〜」

新井煮干し子『もらってください (EDGE COMIX)』。マンガとして、自立している。ムダがない。登場人物けっこう会話してるのに、時間の省略きちんとしていて、動きがあり、喜怒哀楽もすごい。 モテることとあんまり縁なく過ごしてきた希介。女の子にとてもモ…

ド変態がすべてを呑む。

清潔な絵でがっつりエロい。そういうリアルもある。 碗島子『せまい。 (バンブーコミックス Qpaコレクション)』。売れっ子漫才師を目指す「せまい。」の二人、ヨイと塩。ネタ合わせは公園でするけれど、かならず見に来るあやしいおとこ。 ヨイは芸人の強心臓…

「男はチンコ揉まれりゃ硬くなるに決まってんだろ」

トリメ『五臓六腑の恋 (バンブーコミックス moment)』。深夜から始発前まで営業する食堂の店主(若い)と売れっ子ホストの物語。 アクロバティックな着想とか、急展開というのはない。初コミックス。マンガの技術は平均以上。 食堂店主はゲイで借金抱えてい…

(この二人は5年間…ちゃんと“師弟”だったんだなぁ…)

穂積『僕のジョバンニ 3 (3) (フラワーコミックスアルファ)』。 5年間。それがどのようなかたちになるかが天才と凡人の差ではあるのかもしれない。鉄雄の5年間は、端から見れば《空白》である。 鉄雄は腕だめしにとちいさな大会にエントリーするが、それを聞…

背中の描写、多い。

折り合いなんてつけたら 鉄雄は その瞬間に チェリストとして死ぬ 穂積『僕のジョバンニ 2 (フラワーコミックスアルファ)』。小学6年生の鉄雄はチェロを弾いていた。その音をたよりに、海難事故から生還できた郁未(いくみ)。郁未は鉄雄からチェロを習うが…

《チェロよ叫べ》

天才と、凡人のことがえがかれているよと聞いて、読めばすぐにそのちがいがわからなくなるけど、とにかくどちらも孤独である。 孤独と孤独が触れあったところに物語が生まれた。それは共同体的な教訓ではない。掟ではないのだ。 穂積『僕のジョバンニ 1 (フ…

しあわせのかたち

紗久楽さわ『百と卍 2 (on BLUEコミックス)』。物語を欠いた回が多いのに、読ませる。かるいネタのえらびかたが上手い。 こちらの知らないこと、それでいて調べたり、試したりしたくなるようなことを入れてくる。 固まってしまった現実のまえに置かれる未知…

「女の着物は きれいだなァ…」

漫画版『しゃばけ』アンソロジーで知った紗久楽さわ。BL『百と卍 (onBLUEコミックス)』、しっかり江戸の風俗で、楽しい。 同性愛にあこがれて、衆道として文化的にみとめられていたのが江戸時代、だからテーマにえらびましたというのじゃない。紗久楽さわが…

「きみに会えてよかった。」

こうしてまた徐々に時間をかけて、俺はもとの堕落した生活にもどっていった。 マロ「好きすぎてやばいから結婚するんすよね?」 蝶子「マロはコドモだねえ!」 『おっさんずラブ』、最終話。 脚本家・徳尾浩司がBL脳じゃないから書けたところ、いっぱい。上…

どの短編にも初期衝動

2011年にかわかみじゅんこ名義で出版された『いたいけざかり (Feelコミックス オンブルー)』は、もとをたどれば西目丸時代のコミックス(2004年。光彩書房)で、雑誌に掲載されたのはおもに1990年代。 それは当然1980年代から連なるもので、なんとなく想起す…

「いきなりお弁当なんて、ちょっと、重たくないかなって……心配だったんだけど」「ああ……重いです」

牧春版『おっさんずラブ』がどのようなラストを迎えるのか気が気でなく、2016年のオムニバス『年の瀬 変愛ドラマ』「第3夜 おっさんずラブ」観る。 この試運転があったからこそブラッシュアップできたのだと得心。1年とすこしのあいだにドラマのトレンドもず…

武川「春田がいま、カミングアウトしました……!!」

『おっさんずラブ』エピソード6「息子さんを僕にください!」。 年上女性・蝶子にゾッコンのマロ(金子大地)。声のトーンがちがうというか、控え目に言って上ずっている。いい演技。 黒澤武蔵(吉田鋼太郎)は「二番目の男でいいです」と言いだすし。 〈ブ…

マ「ジュニアとなにがあった? しんだはずのかれが目のまえに現れたからって、そんなにかんがえこむような貴方じゃない。以前ジュニアとのあいだになにかあったんだろ? だからそんなに…」  バ「過ぎたことだ」

「やっぱり! ジュニアは綺麗な子だったっけね。女みたいにいつもルージュを引いて」とマライヒ。「僕より愛してた?」 劇場アニメ『パタリロ! スターダスト計画』(1983)。 スラップスティック、矢継早のギャグ、ジャズ、シリアスへの茶化し。 パタリロは…

牧凌太「世間はいつだってうるさいです」

『おっさんズラブ』、武川を演じる眞島秀和がきっちり“第三の男”だ。嫉妬心の有無だろうか。 「好き」という感情を押したり引いたりするだけでは恋愛ドラマとして単調になる。烈しさはもちろんだけど、性格や感情の歪(いびつ)なところもだしていける舞台に…