ダヨオ『ロンリープレイグラウンド(上)』。
妻子あるサディスティックな中年男やその家庭を壊そうとした雪文という、重い設定だけれど、過去のすべては悔いとして清算されるし、みんな人が好いから絶望はやってこない。
はじまりは、町中華で働く慧介。気にかけていた〈駅の向こう側〉の会社員・雪文と行きずりの関係をもつ。
しかし雪文にはしがらみがある。それは中年男の宇津木に仕込まれた心身だ。
そこから抜けなくてはならない。あたらしいばしょに行かなくても人生はつづけられるが、これまで知っていたよりも魅力的な価値観と出逢ってしまったら、なんとしても舵を切らねば、未来を失敗ることになる。