三木聡脚本・監督『図鑑に載ってない虫』（2007）。赤塚不二夫みのある『真夜中のカーボーイ』か。悪ふざけの連続のようで、急に泣かせる。
編集長（水野美紀）に命じられ、臨死体験ルポを書くべく「死にモドキ」探しをはじめる「俺」（伊勢谷友介）。相棒としてアル中のエンドー（松尾スズキ）を誘う。
旅にサヨコ（菊地凛子）が加わるものの、エンドー×俺で視ていい。目玉のおっちゃん（岩松了）×チョロリ（ふせえり）の二次創作も可能。
目玉のおっちゃんの台詞に「いい年して、おれ何で怖い顔してるんだろって思う今日このごろ」と。
キャストは片桐はいり、森下能幸、村松利史、マメ山田、嶋田久作、いか八朗、園子温などクセのある贅沢。終盤の佐々木すみ江、新谷栄子が強烈だった。旅館の番頭で一瞬登場するノゾエ征爾も可愛過ぎる。
田中哲司、松重豊、笹野高史といったマトモにみえるひとたちも。
三木聡の書く細部は長編小説の描写のようであり、回収されるものばかりではない。人物の愛嬌と相俟（あいま）って記憶にのこる。
