大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

映画

「じぶんの死を想像して生きようともがけば、どんなことでも成し遂げられるはず」

「体当たりの演技が売りじゃなかったのか」 「演じることが怖いから、何にでも挑戦しただけよ」 『ファング一家の奇想天外な秘密』(2015)。原作はケヴィン・ウィルソンの小説『ファング一家の奇想天外な謎めいた生活』。 なにしろキャストが佳い。ニコール…

アレクサンドリア、世界の結び目。

「ナショナル・シアター・ライブ」の『アントニーとクレオパトラ』(2018)、二人の死が語られるラストを冒頭にもってきたので、おどろいた。そういういじりかたを、予想していなかった。 『アントニーとクレオパトラ』が書かれたのは四代悲劇のあと、比較的…

『少年たち』

映画『少年たち』観た。美しかった。胸を衝かれた。 物語の理想としては、環境から切り離された個性によってドラマが展開するべきだろうとおもうけれども、少年という概念は飢餓感や孤独を呼び寄せずにはおかないわけで、映画らしくいくらか話の筋をみせるた…

生首。森がうごくこと

ナショナル・シアター・ライブ『マクベス』観る。冒頭に制作者の解説映像あり。 もともとの舞台は11世紀。「超自然的な力を信じた時代」である。設定はそこから近未来へと変わる。 現代のイギリスがかかえる問題をかんがえると欧州連合、多民族、他宗教、経…

「青二才の傲慢さほど、醜いものはない」

冒頭で桂文枝、オール阪神、ジミー大西、笑福亭鶴光など芸人わらわら現れて、キャストがにぎやかなだけの映画かとかるく観はじめるが、なかなか、どうして。 映画『のみとり侍』(2018)。原作は小松重男(1931−2017)の短編集『蚤とり侍』。 助平だけでは、…

語られぬところにも欲望はある

老女が、煙草を吸う。だれにもたよらぬ気むずかしさをみるようで、出だしからかなしい。それでもここまで生きてきたのだ、というところに救いもある。 スウェーデン映画『サーミの血』(2016)。十代のときの家出と、恋。 観光客相手の職業性や、文化人類学…

「もう後戻りはできない。新天地に行くか、川に沈むか」

『レミングスの夏』(2017) えがかれるのは、14歳の夏。それを18歳の「僕」が回想するかたち。ある復讐を達成し、「僕」は待っている。 「僕」の名はアキラ(菅原麗央)。おもいだすのはナギ(前田旺志郎)のこと。 前田旺志郎が好い。「行動力」と「迷い」…

「親父が言ってたっけ。『味は見た目だけではない』」

武正晴監督『カフェ・ソウル』(2009)。脚本(金杉弘子)は甘いところもあるけれど、カメラワークがしっかりしている。 追いかけっこがはじまったり(『嘘八百』)、育ったばしょがおんなじだったり(『百円の恋』)と武正晴監督らしいばめん、傾向をかんじ…

「『骨董品』になったら、また店においで」

中井貴一と佐々木蔵之介がならぶ『嘘八百』。包容力と胡散臭さをもつ二人。大阪で、骨董品をめぐるコンゲーム。 出演者が皆胡散臭さをまとっている。近藤正臣、芦屋小雁、木下ほうか、坂田利夫……。その辺りでじゅうぶんにおどろけるが、桂雀々まででてくる。…

片桐はいりをサブカルに押しこめようとする力

オムニバス4編。合わせて40分ほど。『片桐はいり4倍速』(2009)。 1本目の「受験生」は、蒲田在住の受験生が片桐はいりをときどき見かける話。 「あ、片桐はいりだ」 生活圏が一緒なのだ。だからどうということもない。地元でよく見る芸能人。そのためにリ…

こわいサンタクロース

フィンランドの映画にはおおむね生活がある。 経済と、貧しさ。それを強調するように家庭は不幸。 ダークファンタジー『レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース』(2010)。採掘をしていたらなにかがでてきた、というかそれこそが目的だった。現場ではそ…

「底意地がわるくて、つめたい子。わたしを愛していないのよ」

『フィンランド式残酷ショッピングツアー』(2012。ロシア。フィンランド。監督ミハイル・ブラシンスキー)。手持ちカメラによる一人称映画。その形式を確立したのがホラーゆえ、そちらに寄り添うかたちだけれども、家族映画。母子のロードムービーといった…

「他人に利用されたまま終わっちゃダメだ。きみは利用された。騙された。だったら、一撃喰らわしてやろうじゃないか」

2012年の映画『マディアおばさんのドタバタNY事件簿』(Tyler Perry's Madea's Witness Protection)。原題のまま、怪しい字幕のやつをアマゾンで観たがいつの間にかに邦題ついてた。VHSならぶレンタルビデオ店でみつけたら、迷わず借りるタイトルだ。 出演…

チョウ・ユンファの愛嬌に、平野紫耀をみる。

『誰かがあなたを愛してる』(1987)。 演劇の勉強のためにニューヨークへやってきたジェニファー(チェリー・チェン)は、さきに渡米していた恋人ビンセント(ダニー・チャン。1958‐1993)がほかの女性と仲良くなっているのを知る。 ジェニファーは遠縁のサ…

「わたしの好きなひとは、なんだか暗いかんじなの。でもね、おとこのひとは明るいよりも、なにか抱えているほうが、魅力的だったりするから」

『知らない、ふたり』。2016年の映画で、おとこの子がサコッシュ下げてるのか、凄いな……とスタイリストまでチェック。男性キャストはK-POPアイドル・NU'EST(ニューイースト)のレン、ミンヒョン、JR。女性は青柳文子、韓英恵、木南晴夏。 とても清潔な映画…

浮気を許さないストーカー気味の元カノが正当化されるような、作りでヤンス

『タイラー・ペリーのまた出たぞ〜! マデアのハロウィン2』(2017)。 前作はブライアン(タイラー・ペリー)家の長女ティファニー(ダイアモンド・ホワイト)が近隣フラタニティの企画するハロウィン・パーティーに顔をだすことからはじまった。男子学生…

前科のあるおばさんたち。だけど怖がり。そして勧善懲悪。

『タイラー・ペリーの出たぞ〜! マデアのハロウィン』(2016)。タイラー・ペリーが一人三役。マディアおばさんと、ジョーおじさんと、かれらの子であるブライアン。 一人三役の会話はもちろん別撮りで、メイクにかけた時間のぶんはたっぷりしゃべってやろ…

双子 愛犬 国境

ある限られた空間で語られること。 『蝿の王』か『変身』か。エピソードを詰めこむか、削っていくかで作品の匂いが変わってくる。 『ヒトラーの忘れもの』(2015)。デンマークの海岸沿いにナチスが埋めた多量の地雷を掘りおこすことを強いられたドイツの少…

「わたしってばかね。ほめられなくても平気みたい」

仕事のハナシとしても恋の物語としてもすぐれている。監督ニコラス・ハイトナー。バレエの映画『センターステージ』(2000)。 身の処しかたが佳い。踊りもそうだけれど、それぞれの人生どのように舵を切るか。 名門校に入ったものの、登場人物たちはプロポ…

オムニバスのいいところは、ふだん積極的には観ない俳優を知ることができるところ。

トータル159分。オムニバス映画『ブルーハーツが聴こえる』(2017)。1話ごと、などと律儀なことを言わずちまちま、ちまちま観ていけばいいとおもう。1話目の魅力にやられたけど。 1話目は「ハンマー(48億のブルース)」、尾野真千子に惹きこまれて角田晃広…

ほかに藤真美穂、安達雅哉、梶剛、白川哲郎ら。

『猫と電車』(2012)。「ことでん路線開通百周年企画」ということもあり、郷土性のほかにエキストラが多数起用されているようで、映るひとびとになまなましさがある。それにうまくまじるかたちで脚本は80年代的なポップと冗談ぽさがある。主演の篠原ともえ…

「マイクロプロセッサのリアルタイム・プログラミングで80年代には2つのことができた。1つ目は、ミサイルを飛ばして人を殺すこと。もう一方がゲーム開発」

ゴシップから都市伝説へ。スコップでかるく掘りかえされもした「アタリ社のクソゲー『E.T.』が埋められた土地」。舞台となるアラモゴードの元市長や市長候補も巻きこんで、ゲームソフト『E.T.』が数百万本埋められたばしょを発掘する。 ドキュメンタリー『At…

つぶやきシロー好演。

『おー! まい! ごっど! 神様からの贈り物』(2014)。 女装しているのがつぶやきシロー。しんでしまった藤本(崎本大海)が天国に行くか地獄に落ちるか。課されるコトや、死者であるとバレてはいけないという禁忌など、シリーズ物なら有効な縛りを1本の映…

「自転車は子どもがさいしょに得る自由だ」

若者が大金を手にして有頂天になっていた。 お金をたくさん稼いで数年でやめるつもりだった。 そうしたら病気になった。 全てがふいに 夢と消えた。 復帰した時は、誰も自分に期待していなかった。 人間なんてそんなものだ。 それならツールで優勝してやろう…

「二つの世界に挟まれたけど。それで幸せみつけられた」

2005年の映画。ニコール・キッドマンがかわいい。沢口靖子のような清純で一所懸命な役どころ。監督はノーラ・エフロン。温かな、そしていくらか知的な登場人物たちによる喜怒哀楽を堪能する。 イザベル(ニコール・キッドマン)は魔女。なんでもできるせかい…

ギャップと共感と

母子二人が部屋のなか。母が子を想う気持ちが凄い。母と子では「未知」に対する態度が異なる。 1977年の作品であり、物語の説き起こしかたがイマドキの映画とはちがうからイマドキのおとこの子には薦められないでいるけど、たくさんのにんげんによって量産さ…

ヒロインの実父役にウィリアム・H・メイシー

2015年の映画『ルーム』。監禁生活を強いられていた母子が無事に脱出し、外界と触れはじめる。生まれたときから密室暮らしが当たり前だった子のジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)にはなにもかもあたらしく、おどろくことにためらいはない。母のジョイ(…

ここをでなければ。そとでこどもがまっている。

報道されなかった細部の欠落を埋め、煽情的に語られたであろうところは省略する。つまり真っ当なのだが、ネットサーフィンで情報を拾っていったときのおぞましさはない。映画として、それが過不足なく倫理的なつくりかただったのか、よくわからない。 2015年…

「終わりのない憎しみや復讐に関わる理由はない」

『風と共に去りぬ』や『ゴッドファーザー』は当然として、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』にところどころ似ていることにおどろいた。『愛と精霊の家』(1993)、ビレ・アウグスト監督。製作国はドイツ、デンマーク、ポルトガル。 出演はメリ…

おもいやり、記憶、引用、現実

ザカリー・シャセリオ目当てで観た『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』(2013)。おもしろかった。ザカリー・シャセリオはチョイ役だ。生け垣に半身突っこんで倒れている脳梗塞の男の足にスケボーでぶつかり、迷った末に携帯で救急車を呼ぶ。 監督、セバス…