大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

映画

きっとだれもが偽善者で、メンヘラ。

『来る』(2018)、原作は澤村伊智(『ぼぎわんが、来る』)。監督、中島哲也。脚本は共同で中島哲也と門間宣裕、そして岩井秀人。リアリティ凄く、人物がくっきりとしている。「わかんねえす」と言ってる高梨(太賀)と「あたしばかだから」と口にする比嘉…

不可解な恐怖は欠いていた

製作サム・ライミ、監督アレクサンドル・アジャ。愛着ある名だがどちらもスケールダウンしつつあり、『クロール 凶暴水域』(2019)も浸水した一軒家のなかでワニと戦う小じんまりしたもの。予告編ではわくわくできたんだけど。 ストーリーには挫折と和解。…

「この銀メダル、きみのだろ」「ちがうよ。だって、捨てたんだもの」

2013年の映画『君に泳げ!』。「国民的弟」であるウサン(イ・ジョンソク)と、天才肌のウォニル(ソ・イングク)。ウォニルはふざけてばかりいるが、そこに見え隠れするのは陰のある物語。 少年期のウォニルは金メダルだった。ウサンは銀メダル。時経て二人…

ケビン・コルシュ&デニス・ウィドマイヤー監督映画

リメイクされた『ペット・セメタリー』(2019)、出演はジェイソン・クラーク、エイミー・サイメッツ、ジョン・リスゴー、アリッサ・レヴィン、ジェテ・ローレンス。 スティーヴン・キング原作の、民話的古典。「忠告」や「禁忌」を越えてしまう物語。 恐怖…

「悲しみは、にんげんの自由をうばいます。関節炎よりも、もっと」

「脇道に反れるのも、手品もなし。薬物もなしです」 1906年を舞台にした『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』(2018)。20世紀初頭のコスチュームプレイということもあってか、画や演技に保守的なところがある。現在は観光スポットのウィ…

(天使が見たもの)

2019年の90分映画。邦題は『ゴーストホーム・アローン』。美 少年のように繊細なタイトルで、半角やナカグロの意味なんてことをかんがえてしまう。 暗闇が怖いおとこの子、ということ。そして外からの侵入者はいない。「ゴースト・ストーリー」でも『ホーム…

ジュリーとゼリー

韓国映画『クワイエット・ファミリー』のリメイク、『カタクリ家の幸福』(2002)。監督、三池崇史。作品内容が暴力的でもあるけれど、撮りかたもまた乱暴で、しかし手堅い。 三池映画は出来が良くないときもままある。それでいて、キャスティングはつねに魅…

日活ヤクザバンパイア

『極道大戦争』(2015)。主演市原隼人。監督三池崇史。小ネタのオンパレードでたとえば出番の多いでんでんがケーシー高峰みたいなホワイトボードレクチャーするとか、三池崇史のセルフパロディがいろいろあるとか(タイトルも中身も『妖怪戦争』なのだし)…

「にんげんになれなかったじぶんを恥じるように、ひっそりと去っていく」

『泣き虫しょったんの奇跡』(2018)。主演は松田龍平だが、早乙女太一、妻夫木聡、染谷将太、永山絢斗、野田洋次郎、渋川清彦、上白石萌音、新井浩文その他、新進の二枚目だけでも大勢でていて、しかし将棋の、奨励会の話だからみんなで幸せになることはで…

よい歪み、わるい歪み。

『嘘八百 京町ロワイヤル』観る。とても良かった。 深すぎない。ダレない。監督は武正晴。脚本・足立紳、今井雅子。脚本家によるノベライズはPARCO出版から。アツい。 前作『嘘八百』は堺市、今作では京都市の協力があった由。ロケ地スタッフキャストなど。…

純愛。騎士道的な。どこか虚言のけはいもある。

大人計画『キレイ〜神様と待ち合わせした女〜』を観て連想したのは『華麗なるギャツビー』。 《ケガレ》《まなざし》《花》といった。 成就しない。それなのに完成はある。

「売春婦がつぎつぎにころされる 事件が クリスマスシーズンに起こった」

『ロンドン・ロード ある殺人に関する証言』(2015)。 2011年初演のミュージカルを映画化。スリリングなつくりに、にやりとする。 イプスウィッチ連続殺人事件と検索すればでてくる実際の事件、その狂騒や差別がすぐ目のまえのことのようだ。 えがかれるの…

「じぶんの死を想像して生きようともがけば、どんなことでも成し遂げられるはず」

「体当たりの演技が売りじゃなかったのか」 「演じることが怖いから、何にでも挑戦しただけよ」 『ファング一家の奇想天外な秘密』(2015)。原作はケヴィン・ウィルソンの小説『ファング一家の奇想天外な謎めいた生活』。 なにしろキャストが佳い。ニコール…

アレクサンドリア、世界の結び目。

「ナショナル・シアター・ライブ」の『アントニーとクレオパトラ』(2018)、二人の死が語られるラストを冒頭にもってきたので、おどろいた。そういういじりかたを、予想していなかった。 『アントニーとクレオパトラ』が書かれたのは四代悲劇のあと、比較的…

『少年たち』

映画『少年たち』観た。美しかった。胸を衝かれた。 物語の理想としては、環境から切り離された個性によってドラマが展開するべきだろうとおもうけれども、少年という概念は飢餓感や孤独を呼び寄せずにはおかないわけで、映画らしくいくらか話の筋をみせるた…

生首。森がうごくこと

ナショナル・シアター・ライブ『マクベス』観る。冒頭に制作者の解説映像あり。 もともとの舞台は11世紀。「超自然的な力を信じた時代」である。設定はそこから近未来へと変わる。 現代のイギリスがかかえる問題をかんがえると欧州連合、多民族、他宗教、経…

「青二才の傲慢さほど、醜いものはない」

冒頭で桂文枝、オール阪神、ジミー大西、笑福亭鶴光など芸人わらわら現れて、キャストがにぎやかなだけの映画かとかるく観はじめるが、なかなか、どうして。 映画『のみとり侍』(2018)。原作は小松重男(1931−2017)の短編集『蚤とり侍』。 助平だけでは、…

語られぬところにも欲望はある

老女が、煙草を吸う。だれにもたよらぬ気むずかしさをみるようで、出だしからかなしい。それでもここまで生きてきたのだ、というところに救いもある。 スウェーデン映画『サーミの血』(2016)。十代のときの家出と、恋。 観光客相手の職業性や、文化人類学…

「もう後戻りはできない。新天地に行くか、川に沈むか」

『レミングスの夏』(2017) えがかれるのは、14歳の夏。それを18歳の「僕」が回想するかたち。ある復讐を達成し、「僕」は待っている。 「僕」の名はアキラ(菅原麗央)。おもいだすのはナギ(前田旺志郎)のこと。 前田旺志郎が好い。「行動力」と「迷い」…

「親父が言ってたっけ。『味は見た目だけではない』」

武正晴監督『カフェ・ソウル』(2009)。脚本(金杉弘子)は甘いところもあるけれど、カメラワークがしっかりしている。 追いかけっこがはじまったり(『嘘八百』)、育ったばしょがおんなじだったり(『百円の恋』)と武正晴監督らしいばめん、傾向をかんじ…

「『骨董品』になったら、また店においで」

中井貴一と佐々木蔵之介がならぶ『嘘八百』。包容力と胡散臭さをもつ二人。大阪で、骨董品をめぐるコンゲーム。 出演者が皆胡散臭さをまとっている。近藤正臣、芦屋小雁、木下ほうか、坂田利夫……。その辺りでじゅうぶんにおどろけるが、桂雀々まででてくる。…

片桐はいりをサブカルに押しこめようとする力

オムニバス4編。合わせて40分ほど。『片桐はいり4倍速』(2009)。 1本目の「受験生」は、蒲田在住の受験生が片桐はいりをときどき見かける話。 「あ、片桐はいりだ」 生活圏が一緒なのだ。だからどうということもない。地元でよく見る芸能人。そのためにリ…

こわいサンタクロース

フィンランドの映画にはおおむね生活がある。 経済と、貧しさ。それを強調するように家庭は不幸。 ダークファンタジー『レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース』(2010)。採掘をしていたらなにかがでてきた、というかそれこそが目的だった。現場ではそ…

「底意地がわるくて、つめたい子。わたしを愛していないのよ」

『フィンランド式残酷ショッピングツアー』(2012。ロシア。フィンランド。監督ミハイル・ブラシンスキー)。手持ちカメラによる一人称映画。その形式を確立したのがホラーゆえ、そちらに寄り添うかたちだけれども、家族映画。母子のロードムービーといった…

「他人に利用されたまま終わっちゃダメだ。きみは利用された。騙された。だったら、一撃喰らわしてやろうじゃないか」

2012年の映画『マディアおばさんのドタバタNY事件簿』(Tyler Perry's Madea's Witness Protection)。原題のまま、怪しい字幕のやつをアマゾンで観たがいつの間にかに邦題ついてた。VHSならぶレンタルビデオ店でみつけたら、迷わず借りるタイトルだ。 出演…

チョウ・ユンファの愛嬌に、平野紫耀をみる。

『誰かがあなたを愛してる』(1987)。 演劇の勉強のためにニューヨークへやってきたジェニファー(チェリー・チェン)は、さきに渡米していた恋人ビンセント(ダニー・チャン。1958‐1993)がほかの女性と仲良くなっているのを知る。 ジェニファーは遠縁のサ…

「わたしの好きなひとは、なんだか暗いかんじなの。でもね、おとこのひとは明るいよりも、なにか抱えているほうが、魅力的だったりするから」

『知らない、ふたり』。2016年の映画で、おとこの子がサコッシュ下げてるのか、凄いな……とスタイリストまでチェック。男性キャストはK-POPアイドル・NU'EST(ニューイースト)のレン、ミンヒョン、JR。女性は青柳文子、韓英恵、木南晴夏。 とても清潔な映画…

浮気を許さないストーカー気味の元カノが正当化されるような、作りでヤンス

『タイラー・ペリーのまた出たぞ〜! マデアのハロウィン2』(2017)。 前作はブライアン(タイラー・ペリー)家の長女ティファニー(ダイアモンド・ホワイト)が近隣フラタニティの企画するハロウィン・パーティーに顔をだすことからはじまった。男子学生…

前科のあるおばさんたち。だけど怖がり。そして勧善懲悪。

『タイラー・ペリーの出たぞ〜! マデアのハロウィン』(2016)。タイラー・ペリーが一人三役。マディアおばさんと、ジョーおじさんと、かれらの子であるブライアン。 一人三役の会話はもちろん別撮りで、メイクにかけた時間のぶんはたっぷりしゃべってやろ…

双子 愛犬 国境

ある限られた空間で語られること。 『蝿の王』か『変身』か。エピソードを詰めこむか、削っていくかで作品の匂いが変わってくる。 『ヒトラーの忘れもの』(2015)。デンマークの海岸沿いにナチスが埋めた多量の地雷を掘りおこすことを強いられたドイツの少…