大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「あんたがいちばん謝らんならん相手はもうこの世におらん」

崔哲浩の脚本・監督・出演映画『北風アウトサイダー』観る。

崔哲浩は在日三世だが、物語の匂いは二世のもの。オモニへの思慕だろうか。あくまで泥臭く、野心と感傷をナイマゼにした作りが良い。素直に進展してきた問題でもないのだから。

個人のエゴよりも「家」や「民族」を重んじる世界。それに耐えかねたキム家の長男ヨンギ(崔哲浩)は音信不通だった。四世にあたるナミ(秋宮はるか)も重くるしさをかんじていた。

キム家の次男チョロ(伊藤航)は存外まともで、熱心。長女ミョンヒ(櫂作真帆)と三男ガンホ(上田和光)がオモニの食堂を守る。売上はイマイチ。支払いも滞りがちで、むかし世話になった清田組にかよってもらって何とか保っているふう。

ガンホは組の人間だったし、チョロと組長(遠藤綱幸)は幼馴染だ。

ガンホになつく在日の愚連隊と、清田組。それを統べる島田組。階層があれば思惑も異なってくる。清田組の若衆・松山(松田俊大)の二面性が怖い。

だれにも二面性、いくつかの居場所がある。それが露見したり、あるいは獲得したりという物語だとおもう。

2時間30分の映画。舞台のように、おおきく第一部、第二部と分けて観ると登場人物たちの感情の振り幅についていきやすい。