坂本龍馬 ええか! 総司がいつまでもオトコの格好して、刀を振り回しとる時代は終わりにせないかんのじゃ!
原作、つかこうへい。映画『幕末純情伝』(1991)。脚本・監督薬師寺光幸。
公開時は『ぼくらの七日間戦争2』との二本立てだったらしい。それで編集して、切って、尺を詰めたから、敷いてもいない伏線を回収する。隙だらけのようでいて胸を打つ。愛嬌のある映画になっている。
沖田総司(牧瀬里穂)を女性としてつよく意識する土方歳三(杉本哲太)と坂本龍馬(渡辺謙)。
龍馬は政治的な理想と肉体的な下品を溢れさせる。土方はストイック。圧しころした低音で演じる杉本哲太がかなり好い。牧瀬里穂はまっすぐで、好対照だ。
長回しが多く、舞台的に的確なうごきをみせる俳優たち。近藤勇を演る伊武雅刀が、渡辺謙と杉本哲太の邪魔をしないほどほどの存在感で来る。
剣の腕や恋ごころ。ことあるごとに沖田はひじかたを煽る。新選組という男所帯にフェミニンなきらめきを投入する物語なので、化学反応どころか沖田が自壊しかねない。土方歳三の異性への優しさに、刀を差したまま嫉妬する沖田は両性的で可能性に満ちている。