『ミネオラ・ツインズ』観る。ずいぶんまじめな演出だった。戯曲の迫力、疾走感、喜劇性……。既成の価値観に対する哄笑はうすれていた。
えがかれる物語世界の、歴史や思想にこだわったまま生硬で、演劇のもつ遊び、匿名/透明性、普遍的衝動をなかなか得られない。
キャストは大原櫻子、小泉今日子、八嶋智人。それぞれ一人二役である。
クロコのような物語の助手として王下貴司、斉藤悠。
八嶋智人が素晴らしかった。観劇前は、小泉今日子のイカす二十代男性や壮年のレズビアンに期待したけれど、こちらの胸が熱くなるリアリティは八嶋智人にあった。
声やメイクでつくるわけではない。あ、八嶋智人がでてきたとおもう。ところが少年なのである。これが舞台だ。陽キャと陰キャ、演じ分けもみごとだった。
先ず声量。そしてリズム。さらには登場人物ごとの好奇心。人物によって異なるドラマの頂点をしっかり捉えて盛りあげる。FBIとやり合うところも活劇だった。
大原櫻子は熱演。この公演のなかで26歳を迎える。たいへんな挑戦だ。
演出、藤田俊太郎。上演時間90分。