大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「『骨董品』になったら、また店においで」

嘘八百 [DVD]
中井貴一佐々木蔵之介がならぶ『嘘八百』。包容力と胡散臭さをもつ二人。大阪で、骨董品をめぐるコンゲーム
出演者が皆胡散臭さをまとっている。近藤正臣芦屋小雁、木下ほうか、坂田利夫……。その辺りでじゅうぶんにおどろけるが、桂雀々まででてくる。芸人さんや落語家のえらびかたが絶妙。前野朋哉友近塚地武雅寺田農も、好かった。
監督、武正晴。脚本は足立紳今井雅子


ゴッホかて『ひまわり』何枚も描いてまっしゃろ? 鑑定書の数だけ本物があるんですよ」


贋物、贋作、フェイク、贋金など。いろんなことばを想起する。テーマとしてニセモノを扱うと、ホンモノや《天才》よりもずっと理性を要求される。
科白が良かったのはもちろん。観ながらかんがえたのは、脚本にどこまで演出が書きこまれていたのかということ。画面がぜんぶきっちりしている。感覚的なところ、ゆるみのようなものがまったくなくて、ただただ感心する。登場人物間の目くばせなど、俳優の技術なのか監督の指示なのか。
完成度が高く、ロマンもある。ニセモノにまつわる話だけに、温かな気持ちで観ながらも、ぞっとするときがある。