大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「もう後戻りはできない。新天地に行くか、川に沈むか」

レミングスの夏

レミングスの夏』(2017)

 えがかれるのは、14歳の夏。それを18歳の「僕」が回想するかたち。ある復讐を達成し、「僕」は待っている。

「僕」の名はアキラ(菅原麗央)。おもいだすのはナギ(前田旺志郎)のこと。

前田旺志郎が好い。「行動力」と「迷い」が同居したまなざしと演技。このバランスは年経てどう変わっていくのだろう。

原作は竹吉優輔の小説。謙虚な書き手かもしれない。行為というものが孕む幼さを自覚して、完全犯罪を中学生たちに演らせた。森鴎外高瀬舟』の如く、「判断」を宙吊りに。

刑事にモロ師岡。脚本、監督は五藤利弘。

原作に忠実だからシナリオの行間がすくない。科白したあと俳優たちのうごきが停まってしまうのは、そのせい。