大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

バグは英雄になるけれど

ウェス・クレイヴンズ ザ・リッパー [DVD]
原題は「My Soul to Take」(2010)。ビデオスルーとなったため邦題は監督の名を冠して『ウェス・クレイヴンズ ザ・リッパー』、かえってとっつきにくい結果に。
きびきびした会話を聴いているだけでウェス・クレイヴンの映画と判る。きっかけはかんたんだけれど話がどんどん入り組んでくる。犯人は超自然ではないのに、その周辺には怪異が充ち満ちている。


切り裂き魔の魂が、七人の子にながれこんだという。欧米だからハイチ的に説明する。東洋だったらチベットか。魂の量は不変であり、人口が増えたとき魂はうすくなっているとチベットふうに言うこともできる。
主人公のバグ(マックス・シエリオット)はスポーツマンではないし繊細すぎるけれど学校の女子にけっこう人気がある。おなじ学校にかよう義理の姉ファング(エミリー・ミード)はそのことも気に入らなくて、女子だけでなく男子も使ってバグをいじめの対象としている。
姉がスクール・カーストの上位で弟は下層。この姉弟が義理の関係であることや、弟がモテに属することで展開はふくざつになってくる。
十代を、あまりに単純化してしまうのは当人たちにとっての不幸だろう。一筋縄ではないかない幸不幸をかかえていることに気づけたときに青春は美の輝きを放つ。


映画の終わりは、なかなか皮肉。