大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

〈以前は、読む人の心にいつまでも残るような印象的なページを作ろうとか、カッコいいファッション写真を撮ろう、といったことが編集者としての大きな目標でした。しかし、ここ数年、編集とは、何かと何か、誰かと誰か、時には何かと誰かを結びつけて思いがけない新しい世界を生み出すことではないか、と考えるようになりました〉  内田秀美『T JAPAN』編集長

 朝日新聞社集英社によるフリーマガジン『T JAPAN』。ネットでも読める。表紙に「ケイト・ブランシェット 抑制と混沌のあいだで」「ジョルジオ・アルマーニ 40年という時間」「皆川明がデザインするもの」と、ゴージャスで優雅。売ろう売ろうとはしゃいでいない。


〈40年のキャリアの間にファッションにラジカルな変化をもたらして81歳を迎えたジョルジオ・アルマーニは、意志を曲げることなく、独創的な思索家としての鋭さを持ち続けている。彼は、「自分はスタートが遅く、“時間”は決して自分の味方ではないと常に感じてきた」と語っている。それだけに、アルマーニが自分の最も優れた仕事について語るときはいつでも“タイムレス”という言葉が何度となく出てくること、そして彼が“タイムレス”を最高の称賛の言葉と考えていることは興味深い〉


記事は表紙のものばかりではない。
マーク・ジェイコブスとは何者なのか?」
「ケイトリン・ジェンナーの件以来だと思うけど、みんな名前で呼びあえばいいって僕は言ってるんだ。何で生計を立てているとか、性的嗜好とか、年齢とか、誰と血縁関係にあるとか、そういうのは関係ないよ。もう2015年なんだから、『こんにちは、私はケイトリンです』『こんにちは、僕はマークです』とだけ言えばいい。『僕はニューヨークから来たホモセクシュアルで、ユダヤ人のマークです』とか『ファッション・デザイナーです』じゃなくていい」
〈マークはさほどロマンティックな人間には見えないが、センチメンタルな人間であるように私には見える〉。〈自分を気持ちよくさせてくれるものであれば、それが麻薬でも食べ物でも、セックスでも運動でも、服作りでも、タトゥーを入れることでも、マークはもっとやりたくなる〉


「いまどきのパワーカップルとは、女友達のこと。でも、果たして私たちそれでハッピーなの?」という記事もシニカルで、しかし現実で。