大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

生瀬「課した散歩」

廃墟の休日(特典なし) [DVD]
『廃墟の休日』。3組の探訪者が登場する。安田顕野口照夫田辺誠一とスミマサノリ。生瀬勝久吉田照幸
ジョン・Tという、メールとメッセージカードを送りつけてくるだけの存在の言うままに廃墟へと足を踏み入れる。


登場しない人物との付きあいかたに俳優の個性がでる。廃墟で、ゴドーを待つ。連れといっしょにいながらも、だれかがいないというさびしさを醸しだす。そこにとても色気がある。アメリカの廃墟を探訪し、未知のわくわくや観光気分にいろどられてしまった田辺組にそのかなしみはうすいのだけれど。
安田顕は、登場しないジョン・Tを立てる。安田たちが食堂でごはんをたべていると、どこかにいるジョンから「I love Dashimaki♡」とメールが来る。それでだし巻きを注文し、「(だし巻きに対して)申し訳ないけどぜんぜん感動しないんですよ。だし巻きだ、ておもうので。ジョンのばあいは、だし巻きに対して、すごい反応するわけじゃないですか」。


安田顕「おまえ、なんでこういうちいさいことに、いちいち感動おぼえられるんだよ。俺うらやましいよって、なんか、メール送ったことあるんですね」


この安田顕の芝居を受ける野口照夫が好い。廃墟と安田を撮る野口照夫の画も美しい。演出、映像系のひとと俳優が廃墟に行くことの凄さを見る。
生瀬勝久の色気は安田顕と真逆のものだ。ジョンを潰す。同行者との話の腰を折る。そうやって目を向けさせる。
一見ただの破壊者のようで、宇都宮で餃子をたべながらの会話、「じぶんがこっちを選ぶっておもったら、(反対側の)コッチを選んだほうがいいんですよ。……じぶんが好きなのはこっちなんですよ」。
「だけど」と話を促す吉田照幸
「コッチを選んだほうがおもしろいんですよ、人生は」「揚げ餃子がほんとはたべたいけど」「水餃子をたべてみる。『あ、水餃子こんなに美味かったんだ』ていう発見がある」「あはは、揚げ餃子(ト生瀬の注文した揚げ餃子を指す)」「ぜったい揚げ餃子すきなんだけど(笑)」
まわりを信頼しているから、悪童になってみせる。天邪鬼にふるまう。これを甘えと説明すると、一寸ちがってくるような気がする。


この番組で初めて知ってものすごく色気をかんじたのはNHKエンタープライズのプロデューサー吉田照幸。その本をすぐに注文した。