大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「じぶんの死を想像して生きようともがけば、どんなことでも成し遂げられるはず」

ファング一家の奇想天外な秘密(字幕版)

「体当たりの演技が売りじゃなかったのか」

「演じることが怖いから、何にでも挑戦しただけよ」

『ファング一家の奇想天外な秘密』(2015)。原作はケヴィン・ウィルソンの小説『ファング一家の奇想天外な謎めいた生活』。

なにしろキャストが佳い。ニコール・キッドマンジェイソン・ベイトマンクリストファー・ウォーケン、メアリーアン・プランケット。。クリストファー・ウォーケン演じる父親の若き日はジェイソン・バトラー・ハーナー、若き日の母親役にキャスリン・ハーン。

監督は、出演もしているジェイソン・ベイトマン

 

かんたんに言うと「毒になる親」との物語、「毒になる親」からはじまる物語。

それが陰惨な密室劇にならないのは、ケイレブ(クリストファー・ウォーケン)とカミーユ(メアリーアン・プランケット)が子らを巻きこんで活動した前衛芸術家だったから。

かれらは子のアニーを「A」、バクスターを「B」と呼んだ。長じてアニーは女優に、バクスターは小説家となった。しかしアニーもバクスターもミッドライフ・クライシスに突入し、仕事がうまくいかなくなっている。

再会した父親の芸術性も衰えていた。

 

ここまでが起承転結の、起。原作が長編小説なので、おもいださせれる幼少期や、そのとき関わったひとびとの再登場が小気味良い。「転」を迎えて俳優たちの表情が変わる。ぞくりとする。

 

アニーは「家族を演じたくない。一度でいいから本物の家族でいたいのよ」と言った。

べつのばめんでバクスターは「偉大な芸術は難しい」と父に対して皮肉だった。

 

バクスターが語った。「かんがえたくないのにかんがえてしまうときには、そのことから書きだすと良い」

どんなに奇妙でも、それを書き進めていくんだ。

 

アニーはつぶやく。

「昔は良かった。シンプルだった」……。

「言うことを聞いていれば済んだ」……。

「いつから複雑になったのかしら」……。

 

高校時代同級生だったスザンヌ・クロスビー役にマリン・アイルランド、サンドウィッチ店のマネージャーにチャーリー・サクストン。