大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

2020-12-13から1日間の記事一覧

〈私は電話を切りながら、やはり慌てて駈けつけるのがふつうだろうと考えた。だけど私はもうその前から父は死んだつもりになっていたので、素直に慌てたりすることができなかった〉

〈最後に目を見合わせたのは今年のはじめで、もう戦後三十年になっていた。私は久し振りにその顔を見て、ああこれはもうだいぶ死んだなと思わされた。父の顔もこちらをじっと見つめながら、もうだいぶ死んだよといっているようだった〉 港が父の仕事場だった…