大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

みんな!喬太郎だよ!

深夜寄席に行く。高座に上がったのは柳家花飛、春風亭一蔵、三遊亭歌太郎、鈴々舎馬るこ


柳家花飛(かっとび)、「ぞろぞろ」。「ぞろぞろ」というのはお稲荷さまの御利益で、一足しかない売りものの草鞋が売れるたびにぞろぞろ、ぞろぞろと天井から降りてくるふしぎな話。マジメでマジカル。花飛はマジメだからこの咄は合うが、もっとかっ飛んでもいい。


春風亭一蔵「たいこ腹」。マクラでテキ屋時代の話。ジブンはこのように愛されたのだ、過去もまた輝いていたのだ、というわけだけれども、どんなせかいであっても愛されキャラは虚像だろう。明るく、そして忘れられる。愛されることは消耗品になることで、おもいのほかせつない。せかいの忘却と、一蔵はどう戦っていくのか。


三遊亭歌太郎は「猫の皿」。つづく馬るこ同様、改作といっていい大胆な脚色。それがいいのかどうか、正直わからない。未来を待たねばならぬ。古典をいじくり回すことに、もう少少慎重になっていい気もする。
マクラは好かった。「お菓子をあげるからイタズラさせて」とか「『帝国ホテル』は敷居が高いが、『ホテル帝国』というと鴬谷の匂いがする。『プラザホテル』が『ホテルプラザ』だと赤羽、川口、西川口」とか。
歌太郎は毒を持っている。毒に派手な狂気は要らない。


鈴々舎馬るこ「七の字」。トリとして、一蔵や歌太郎の持ち味を取りこみ、食う。このふてぶてしさは相当だ。スラップスティックな「七の字」。これもできる、といったかんじ。まじめにも演れる。そんなところがある。