「さっきのスピーチ、マザー・テレサの言葉つかってたでしょ」

『僕たちは世界を変えることができない。 but we wanna build a school in cambodia』、2011年の映画。深作健太監督。
どんなドラマにもはじめから書きこまれた部分とそこを食みでたナマな部分がある。フィクションとドキュメントを均してなめらか且つ緩急あるドラマになっていて驚嘆。

「おまえさ、ちんこ勃てんのとはワケがちがうんだよ。時給880円のバイトしてるあんたが、150万なんて集められるわけないでしょ」と柄本佑。ドスが利いている。グループのなかの不穏なキャラクターとしてみごと。
「アンコール・ワットでさ、ちいさい子どもが1ドルねだってきたことあったろ？　おれ思わず渡しちゃったけどさ！　たった1ドルであの子たちの未来変わんのかよ！　変わんねえだろ？　だったらおれらが建てる学校だっておんなじことだよ。問題がデカ過ぎるんだよ」

向井理が演じる田中甲太は優柔不断。松坂桃李の本田はチャラいが若く、真面目で硬直したところがある。
窪田正孝は末っ子のようにイジられる。ブルーハーツの『青空』をうたう。

「変わってますねー。どんどん変わらなくては、いけない」とプノンペンで、通訳のKor Vurthy。カンボジアに恐怖政治があった。ただ風化するのもまずいけれども、歴史は、前進しなくてはならない。そういう科白だ。