スティーヴン・キング原作、ロブ・ライナー監督『ミザリー』(1990)。キング×ライナーにはほかに『スタンド・バイ・ミー』(1986)がある。丁寧なつくり。しかも味がちがう。
『ミザリー』。雪のなかの密室だが暖かい。過酷と狂気を絡めることなく一見温かな家庭と狂気を合わせていく。事故に遭った売れっ子作家がファンに救われついでに監禁される話で、そこそこ快適なばしょだから、怖い。閉じこめられても叫ぶことができないではないか。
作家(ジェームズ・カーン)のファンであるアニー(キャシー・ベイツ)がさいしょの挨拶ですでにあぶない。「つけてたの」
危険信号をだしおしみしない。雰囲気だけで進めない。世話を焼いたり激高したりするアニーの拙い純粋さにドン引きしている作家の表情が好い。かんがえようによっては言いなりになって監禁されて生き延びる手だってあるのだ。その選択をさせないキャシー・ベイツとジェームズ・カーンの演技。こういうことがあってはならないのだ。
こういうことがあってはならないというふうに、物語は展開する。アニーの暴力性と殺意がはっきりしてくる。
保安官にリチャード・ファーンズワース。その妻で保安官補のヴァージニアを演じているのはフランシス・スターンハーゲンで、主演のキャシー・ベイツを盛り立てるように、ややあぶない。