大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

大統領の料理人 [DVD]
『大統領の料理人』(2012)、素人が悪戦苦闘する話ではなくて、実績も自負もあるヒロイン・オルタンス(カトリーヌ・フロ)が初手からぐいぐい行くので気持好い。
登場人物たちにも雰囲気があって、簡潔な展開ながら共感できる。男社会の嫉妬や嫌がらせと戦う部分もあるけれど、メートル・ド・テルのダヴィッド(イポリット・ジラルド)やパティシエのニコラ(アルチュール・デュポン)といった協力者も多い。
いまは南極の基地で働いているオルタンスにテレビのクルーが注目するも、直接引きだせることはほとんどない。エリゼ宮の過去を追うことができるのは観客だけと言って良く、映画としてのおおまかな筋は「テレビの取材班が南極で予期せぬ女性料理人と出会った」というもの。詰めこみすぎず適正なボリューム。


劇中のミッテラン大統領が言う。愛読する料理本について。
「たとえば『ルーアンの仔鴨のサプライズ』。書き出しはこうだ──“コルネイユの故郷から、よく太った仔鴨を取り寄せる”。コルネイユの故郷から! よく太った仔鴨を取り寄せる! 今の料理本ではこんな風流な書き方はしない」