大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

〈愛しているものや美しいもの、ずっととっておきたいくらい大切なもののいちばんいい保存方法は物語にすることだ〉

絵本を抱えて部屋のすみへ (新潮文庫)
絵本についてのエッセイ、江國香織絵本を抱えて部屋のすみへ (新潮文庫)』。
〈友情というのは厄介な代物で、言葉にするとたちまち空々しく鬱陶しくなってしまうのだが、だからこそ、正しく紙の上に写すことができたら、と憧れる〉など、絵本をとおしてだから言えることがたくさん読める。
巻末には対談。五味太郎と。それから山本容子と。

江國 ずいぶん前は「ほんとうのこと」があると思ってた。目に見えるものの後ろに、目に見えない「ほんとうのこと」があるって。でも、そんなものあるのかなあ、と今は思う。
以前知人に、あなたのいいところは鍛えられた身体だ、と言ったら、中身がないみたいだから喜べないって言われたことがあって、そのとき今のは失礼だったのだろうかって考えた。でも、心が優しいとか情にあついとか、ほめ言葉はいくらでもあるけど、私はその人の身体をほんとに立派だと思ったし、心とか情とか、そんなことよりよほど「ほんとうのこと」だと思って……。