大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

いちばんちかいボクシングマンガは江口寿史『エイジ』

シュガー 5
「『4次元ボクシング』だけどね‥‥」「いきなり本題っ!!」「そのためにわざわざ僕を呼び出したんじゃないの?」「あ‥‥れ もしかして‥‥ご機嫌ななめ?」「のこのこやって来た自分の若さに少し‥‥ね」「『のこのこ』させましたか?」「した‥‥ね」
新井英樹シュガー 5』。進行のための説明的な台詞でなくて、話者の人間性を強調する語り。だから自ずと会話を要求する。
「会長は‥‥オニだね」「‥‥あのね『人柄は二の次ひたすら殴れ』
『美しく残酷に殴るほど客は喜ぶ 悲しむのは相手だけ それがプロボクサーだ』
俺の師匠が言ってたね
才能はなかったけど」
残酷さ、というものが三島由紀夫的観念性に陥るかあるいは眼前のものとして突きつけられるか。
ジムのひとたちには知られぬようプロテストの準備を進める石川凛と会長の中尾。もっとまえからプロテストを予定している同ジムの子を外す必要がある、石川凛のテスト参加を隠すためには。
で、ジム内でスパーリングしてかるくマットに頭打たせてその子のテストを延期させようと目論むのだけど、拳をかわしながら石川凛のモノローグ〈なるほど『人柄だけの人』〉。
この残酷/冷徹が独りよがりな少年性にとどまらないのが凄い。中尾も、石川凛の口車に乗りながらコトあるごとにリンを否定する、前言を撤回するのが凄い。