鳥飼茜『先生の白い嘘(1) (モーニング KC)』。
性交による親密さをただエロティックとみるならば辺りはじつに官能的なのだけれども、そこに社会的な歪(ひず)みを発見するとスパイシーな歓びばかりではいられなくなる。オープンでいられなくなる。
そととの歪みということもあるし、当事者間の歪みもある。親密な場で社会を目の当たりにしてしまうのは哀しい。
「あの日 どこまでが俺の『そうしたかった事なのか』 わかんないんです…今も」
「自分の欲求満たしておいて 自分のせいじゃなかったって言う話?」
気を失いそうな痛みの中で
私は千切れる音を聞いた
プチプチと音を立てて
自分の体と自分の心を縫う糸が千切れてバラバラにほどける音
「アンタが怖いのは女のアソコじゃない… 男に生まれてしまった自分自身よ」
競争することをアキラメタのではなくウバワレタ立ち位置を、知らないひとがいる。