大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

(部屋掃除してメシ作って 彼女か? お前は俺の彼女か?)

ごめんしたって許さない (gateauコミックス)

前略
お母さん
お元気ですか

僕は東京で友だち100人作ろうとしましたが
見事サぼっちになってしまいました

でも安心してください…
イメチェンしたらゲイのおじさんにモテモテ!
東京での生き方がやっとわかってきた

博士『ごめんしたって許さない (gateauコミックス)』。上京してきたおとこの子が、キャッチセールスなどに引っかかって日サロやアクセで《変身》し、モテ系になる。しかしぼっちはぼっちのままゲイでもないのに行きずりのオッサンたちとのセックスに金銭と愛情をもとめるという……おもたく扱おうとすればいくらでもおもたくなる裏社会感をポップなラブストーリーに仕立てるところで非凡で非凡で。
パートナーとなるであろうパリピ? のおとこの子もけっこうな性格で、上京君のケータイをかってにいじって「ブロック ブロック ブロック ブロックリストからも削除〜」。
「なにしてるの」「お前の取引先消してんの」「わあ! なんてことお」「はい」「なしてこしたらごど〜!」「なんで…? 嫌がらせとかじゃない?」
どこもじつは闇。


問題ある気質に敵役でなく共感すべき対象としてスポットライトを当てる。話をきちんとはこびつつ、ポルノなばめんもしっかり入れる。
章が変わってパリピ? の読モ君を語り手にしての転調もナチュラルな操作だろうけど巧い。
二人はセックスすることになるからゲイセックス可能な感性であるのはまちがいないんだけれども、ゲイであるとかゲイでないといった発言はなくて、アイデンティティをめぐる人生や物語に紙幅を割かず進んでいくところにも戦略があり繊細だ。