大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「何かすごいことが起こってあたしの日常を吹き飛ばしてくれないかなと そんな風に思っていたんです」「すごいこと? お前 霊感少女なんだろ なら日常はすごいことばかりなんじゃないか?」

BOX~箱の中に何かいる~(1) (モーニング KC)
BOX~箱の中に何かいる~(1) (モーニング KC)』。諸星大二郎のアンテナにいま引っかかっているものを、ひとつの箱のなかに入れて物語に仕立てあげる。短編でもなく、連作でもない不可逆的なホラーコメディ。全3巻。
登場人物の光二と惠がBL! といって読みすすめるとゲイ関係でないのが判る。それを補填するかたちでべつのゲイ関係を生みだす辺りに諸星先生の誠実さ。


惠の光二へのさいしょの告白は、男子トイレ。「見せたいものがあるんだけど……」
登場人物たちは、パズルを解くとカラダのどこかが欠けるらしい。惠はちんこがなくなった。


「邪魔してごめんねー 君たちってあれなの? BL?」
「ば ばか言え! こいつに勝手に見せられただけだ!」


ドノンケ感あふれる光二が惠を意識しはじめる。この関係のぐにぐにと変身していくさまが尊い
ホラーのばあい顕著だけれど、おおきくおどろかせればいいというかんがえかた。そうではない。どんなものでも出遭って時間が経過すれば距離も変わる。でてくるパーソナリティもちがってくる。
諸星大二郎のソリッド・シチュエーションは硬くない。肉や骨のようにやわらかでまるく、どんどん変わる。