大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「なんだか、最近のお金持ちは宇宙に行きたがりますもんね(笑)」  松尾スズキ

キレイ 神様と待ち合わせした女[2019/2020]

松尾スズキシアターコクーンの芸術監督に就任し、4度目の再演となるミュージカル『キレイ 神様と待ち合わせした女』。大人計画。初演の2000年から、ばしょはコクーンときまっている。

その歴史、関係性、初演執筆時のポテンシャル、モチベーションなどが旨みとなってくる。

シアターコクーンの大きな財産〉(加藤真親)とパンフレットに。

物語の構造としては孤児、黒幕、双児性、自分自身との対話といったシンプルなもので、書きこまれる叙情は安部公房寺山修司から地続きでもあり、仰天はしない。

こどもの物語だ。それをおとなが観る。さまざまなことどもと引き比べる。そのおもしろさがある。

 

今回、外部からは生田絵梨花神木隆之介小池徹平鈴木杏麻生久美子ら。俳優は皆良かった。岩井秀人村杉蝉之介は所作、声から好ましい。

少年期のハリコナを神木隆之介が、青年になったハリコナを小池徹平が演っている。

生田絵梨花(ケガレ)は 過去をわすれて麻生久美子(ミソギ)に。ハリコナ、ケガレ=ミソギの時間を超えたかさなりかた、またブレは演劇ならではのもの。

神木隆之介はパンレットで「ケガレに一番寄り添っていればいいのかなと。このふたりが理想のカップルに見えるといいですし、それが可愛らしければ可愛らしいほど、青年・ハリコナの言動が本当に残酷に見えてくるので、その悲しさを作るためにも、ハリコナは純粋な気持ちでケガレを見ていたいと思います」──読解力・演技プランがまっとうで、キュンとくる。

生田絵梨花は猫、神木隆之介は犬、という演出があったようだ。シンプルに犬かつ清潔。堪能した。