松尾スズキがシアターコクーンの芸術監督に就任し、4度目の再演となるミュージカル『キレイ 神様と待ち合わせした女』。大人計画。初演の2000年から、ばしょはコクーンときまっている。
その歴史、関係性、初演執筆時のポテンシャル、モチベーションなどが旨みとなってくる。
〈シアターコクーンの大きな財産〉(加藤真親)とパンフレットに。
物語の構造としては孤児、黒幕、双児性、自分自身との対話といったシンプルなもので、書きこまれる叙情は安部公房や寺山修司から地続きでもあり、仰天はしない。
こどもの物語だ。それをおとなが観る。さまざまなことどもと引き比べる。そのおもしろさがある。
今回、外部からは生田絵梨花、神木隆之介、小池徹平、鈴木杏、麻生久美子ら。俳優は皆良かった。岩井秀人、村杉蝉之介は所作、声から好ましい。
少年期のハリコナを神木隆之介が、青年になったハリコナを小池徹平が演っている。
生田絵梨花(ケガレ)は 過去をわすれて麻生久美子(ミソギ)に。ハリコナ、ケガレ=ミソギの時間を超えたかさなりかた、またブレは演劇ならではのもの。
神木隆之介はパンレットで「ケガレに一番寄り添っていればいいのかなと。このふたりが理想のカップルに見えるといいですし、それが可愛らしければ可愛らしいほど、青年・ハリコナの言動が本当に残酷に見えてくるので、その悲しさを作るためにも、ハリコナは純粋な気持ちでケガレを見ていたいと思います」──読解力・演技プランがまっとうで、キュンとくる。