野外で行われたダンスパフォーマンスを、スズナリの劇場に。新たに落語を盛りこんだ。
振付・夕沈、演出・天野天街、音楽・珠水。生演奏・坂本弘道。落語台本・河井克夫。
呼ばれているのはアリスかとおもったら、蟻だった。いや、アリスでもあるのだろう。穴、落ちる、出会う、時計、水……。
野外に根をもつダンスには春夏の匂い。落語のほうは、秋冬のけはい。後半部にドッカと坐る落語「蟻丁稚」に合わせてせかいは調整されたのだろう。唐突に幕は開き、目ざめた幼女、あるいは蟻がみつける「あ、キリギリス」。かの女たちに囲まれキリギリスと呼ばれたのはチェロ。そこに坂本弘道が入ってくる。音楽がはじまる。
エフェクターを駆使したチェロ、落語パート、王者舘テイストそれぞれが楽しみ、謳いあげていて、良かった。
出演は夕沈、中村榮美子、山本亜手子、雪港。
ロビーでは『平太郎化物日記』の上演台本(北冬書房)を売っていた。これで天野天街の手書きの台本とスケッチを堪能できる。買って帰る。