大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「落とし穴に嵌まってしまった。そのことに彼は気づいていない」

二兎社『ザ・空気 ver.3 そして彼は去った…』観る。

永井愛の脚本・演出。出演に佐藤B作。この二人の名が目当てだったが、金子大地、韓英恵和田正人、神野三鈴いずれも素晴らしかった。声の出演で吉田ウーロン太。1時間45分。

 

佐藤B作が演じるのは、番組出演を控えたジャーナリスト横松輝夫。しかし様子がおかしい。横松でなく、まわりが。ADの袋川(金子大地)は横松と絡みたくないようだし、とおされた部屋もこれまでとちがってスタジオから離れている。

入構時、横松の体温が37.4℃あったせいだ。

 

こういう、出だしのキッカケから転がし、拡げていく脚本がみごと。37.5℃ではない。その押し問答でも劇は成立するけれど、番組のプロデューサー星野(神野三鈴)とサブキャスターの立花(韓英恵)には横松との因縁がある。行動に、それが反映される。

外部の制作会社の袋川とその先輩・新島(和田正人)は横松と確執がないぶん、無責任だし尻込みもする。

 

横松輝夫の阿諛、癒着、変節。

星野礼子の執着、呪縛。

 

生の演技にこだわり訪れた緊迫感。ザ・小劇場の緻密さだった。