やまもり三香『うるわしの宵の月』第3巻。
「手を出してみて 好きかどうか確かめるって おかしいでしょ
順番逆でしょ」
「だってオレ
今までこんな プラトニックなの 経験したこと ないからさ」
キスが駄目なら手をつなごう。琥珀は提案する。宵は「――でも また 男の子同士って 間違われるかも しれないし」とためらう。
「オレ、そういうの どうでもいい」と言う琥珀がイケメンである。こだわりがない。世界も理想もぼんやりしている。だから目のまえのかがやきにおどろき、執着してしまう。
目が
合うだけで
なんで こんな気持ちに なるんだろう
美しく素直な宵と琥珀。ウブな読者としてはこのままつづいてくれればと願うが、恋に鞘当ては付き物。顔立ちのちがう第二の男性王子が登場する。苗字もオウジなのだという。大路拓人。
市村琥珀にはのびやかな逞しさがある。その肌の匂いをなつかしみ、リアルで知ってるあのひとこのひとを当て嵌めて読みもするが、大路拓人は虚構の仔犬のけはいがあり、俳優でキャスティングなど試みる。この清純(天然のようで計算づくの)は、高橋文哉だろうかと。