大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

〈きのうの幸福でうそっぽい家庭の図だけでも、私は十分映画を観た気分なのだ〉  江國香織「綿菓子」

こうばしい日々 (新潮文庫)
江國香織こうばしい日々 (新潮文庫)』。収められているのは表題作と、「綿菓子」。
「こうばしい日々」の語り手は「十一歳になった」「僕」。
「綿菓子」の語り手は小学六年生の女子で「私」。
わかりやすくシンメトリーで、それを登場人物たちの性格にも看て取ることもできる。スポーツマンと、文学青年とか。日本食と、アメリカの食べものとか。
そんなふうに現実がすっきり比較対照されてたまるかともおもうけれども、他人というのはじぶんと反転したところにいるのだ、とかんがえることで辺りの多様性をなんとか呑めるようになるひともいるわけだ。