大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「あの子は死者たちの闇を照らすランタン」

ポルターガイスト [DVD]
リメイクされた2015年の『ポルターガイスト』。監督は『モンスター・ハウス』のギル・キーナン。
リメイクに必要なのは今の匂いかかつての匂いで、どこでなにを観ているのか受け手に判らなければスルーされてしまう。
この『ポルターガイスト』は序盤が大人しすぎる。わくわくするまでの間が長い。
この家ではおかしなことが起こるぞ、とはっきりしてからは小気味好い。登場人物の性格や来歴も明快にできている。闇が、奥行が不足している気もするけれど、たいていのホラー映画はアトラクションであり、謎がのこる必要もなく、家族向けとして明快は推奨されるだろう。
ここにはスティーヴン・スピルバーグリュック・ベッソンのわかりやすさがある。リュック・ベッソンの『ミニモイ』シリーズのやわらかで多様な単純さを見いだせるのはキャストのカイル・キャトレットのためばかりでない。
ギル・キーナン監督は、たとえば『ポルターガイスト』の世界を、怖いとおもってつくっていない。楽しいものだと信じてつくる。そこがリュック・ベッソンに近い。ただし楽しむひとの常としてフォロワーになりがち。だから新作とも古典とも異なるところに浮遊する。
カイル・キャトレットの声が好い。優等生で勇敢で、ときに反省し、観ていて安心。