大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「トオルってさ 言いたいことあると黙るよな いつもすごいしゃべるのに」

 

てだれもんら 1 (ビームコミックス)

行為をえがかないBLかな、とおもって読みはじめた。

絵は、写実的ではないけれど色気がある。骨が太く、おとこの膚の匂いがする。タイトルは『てだれもんら』。手練の者たちということだ。日本の料理人と、庭師。

週末に、ひとつの部屋で寝るものの、えがかれる恋は片想いらしいと判るのはすこしあと。それよりもおどろくのは三話目の「庭師の仕事」だ。

庭に棲む《怪(け)》を祓うのも仕事であると。

一話、二話の語り口がしっとりしていたこともあって、空想的非日常の混入に動揺した。あわてておなじ作者の短編集『にわにはににん』を買い「ああ、ファンタスティックな庭師の話はすでに描かれていたのか」と確認できても胸の高鳴りが止むことはない。

中野シズカ『てだれもんら』第1巻。つづくのである。生ま生ましい二人の眠りがファンタジーに呑みこまれぬよう期待しながら待つ。

 

現代っ子の描きかたがみごと。極端でなく。どこにでも居そうな。

その延長線上に、クセのある奴、芯のある奴などがいて、物語をつくっている。