「噂が広がらないようにするには、噂をホントのことにすればいい」
『ピーチガール』(2017)。原作は上田美和の少女マンガ。キャラクターが魅力的だ。
口数すくなく、あいての内面には立ち入らない東寺ヶ森一矢(真剣佑)。
じぶんよりも他人を優先する岡安浬(伊野尾慧)。青春は騎士道だから、幸福に対して不器用である。
不必要にまわりの邪魔をする柏木紗絵(永野芽郁)の苛立ちは、きらきらしていると誤認されがちな男子の怯えのせいだろうか。
「いい人ぶってんじゃねえよ! 吐き気がする三回しね修学旅行中に虫歯になれ!」
ほんとうの欲望を言いだせないまま交差し、衝突する。
切ない。青春には解決できないものが多々あると観ていて危ういものの、意外な人物が物語から脱落することで渦中のかれらは救われる。
ヒロイン・安達ももを演じた山本美月の男装と、伊野尾慧の女装をいま観ると興味ぶかい。