大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

俳優。型のない部分がたくさんあって、だから型が光る。

ぼくたちの家族 通常版 [DVD]
『ぼくたちの家族』(2014)。長塚京三が佳い。池松壮亮が佳い。長塚京三は、演技のひとつひとつに不穏なものがある。昔気質の俳優の、にんげんのいかがわしさ。しゃべるだけでなにかが起こるけはい漂う。
監督・脚本の石井裕也がすごいのか原作の早見和真がすごいのか、ヒロインである原田美枝子演じる母に脳腫瘍がみつかったときのかの女、夫、長男浩介(妻夫木聡)、三者三様の反応にみごと惹きこまれる。そこにはいない池松壮亮池松壮亮による次男俊平は学生だから、地理的にも距離がある。にもかかわらず母の玲子に信頼されている。
池松壮亮の第一声に、ああ、好きだ、とおもう。信頼できる「信頼できない語り手」だ。
脇役みたいな演技をする。落ち着きつつも、張り切っている。主演のときも、助演のときも。下品にならないのは張り切り過ぎないからだし落ち着き過ぎないからだ。