大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

anan(アンアン) 2019/11/20号 No.2176[体内美容レシピ79/岸優太]

険しい若者の顔はなく、あどけない。幼時をのこしたまなざしが愛しい。

『アンアン』2019.11.20、岸優太。「正直、『アンアン』の表紙は、30代くらいに決めたいと思っていたので、“まだ、色気発展途上の今でいいの?”と驚きました」にはじまって、でてくることばがぜんぶ好い。このひとの液状のたましいをバケツでドバンドバン浴びせられているようで、こちらの心臓が溶ける。

控えめで、生き急ぐことはけっしてなく、晩成、というのは青年の焦りがない永遠のような時の捉えかた。

そもそも、見せたがるほどの体になれていないし、イタい感じが出ちゃうと嫌だから隠します。ライブでも本当はずっと脱いでいたいけど、あえてボタンを留める、“控えめ系筋肉”でいきたい。でも、家では鏡で体を見るし、毎日のように写真を撮るので、携帯の写真フォルダーが筋肉日記みたいになっています。自分しかいない空間だからいいんです。

「自分らしさって、なかなか見えてこないですから」も凄い。「モテ」とか「流行り」でなく、「自分の好きなことをしているほうが大事だと思うし、その人らしさこそが魅力だと思う」としつつ、それをみつけるのはむずかしいと。

岸優太が、お酒を飲まないひとだからかもしれない。独立不羈。だれかとつるんでワアワアと時間を使うイメージがない。

食べものに関しては昔も今も頑なで蕎麦、たこわさ、サンマの肝。「ちょっとずつ、ベロでゆっくりと味わいながら食べています」滋味。美食家の、澄んだ境地。と思いきや蕎麦は蕎麦でも「コロッケそば」だったりする。

へんに気取ったところがない。だから挑発も、扇情もない。それでも官能の側にいて、清潔で、奥ゆかしいままアイドルである。