二村ヒトシ、金田淳子、岡田育のトークイベントがまとめられた『オトコのカラダはキモチいい (ダ・ヴィンチBOOKS)』。発言者のプロフィールを知らずに読んで、岡田育を年配の腐女子だとおもっていたら、金田淳子のほうが年上だった。BLに対して現役なのが金田で、そのぶん感覚がきちんと更新されているのかもしれない。
感覚のそれは古さ。ソフトで硬いところ。
栗本薫がどれだけBLに影響をあたえていたのかを知る。《穴の発見》、しかも「毎回血が出ます」。金田、「栗本先生はSM的な関係がお好きだったので、こういう前戯もなしの痛いだけのアナルセックスさかんに『小説道場』などでも推奨していたんですけど、道場の門弟たちも『それは、さすがに……』と思っていたふしが見受けられます」。
『女装美少年』など親セクシュアルマイノリティな方向のアダルトビデオ作品も多い監督・二村ヒトシ。「僕は、甘言にのせられて少年がふと女性化してしまう一瞬に萌えるんです」
今のAVはマーケティングから企画されることが多いんですが、やはりポルノって、出演者の欲望と、監督の視線の欲望が刻まれてなきゃダメだ、と思うんですよ。一般的に、男が女性向けに考えて作ったAVってエロくないんですよね。「女の人って、こういうのが好きなんでしょ」って決めつけちゃうのは……。
少年マンガにおける乳首のくだりは可笑しかった。
金田 以前腐女子の友人に聞いた説で私がすごく腑に落ちたのは、「悟空の乳首は車のライトと同じなんだ」説です。(……)鳥山先生は車を描くのがすごく好きな方なんですよ。だから先生は車のフロント部分を描くのと同じ感覚で男子の胸板を描いているのではないかと。それでどことなく車のライトのようなテイストで横長の乳首を描いてしまうんじゃないかという指摘です。
マンガの乳首の有無に関しては「健全」をめぐる問題でもあるだろうけど、男の乳首不要論というドノンケな思想もあって、この本では野田秀樹が槍玉にあげられていた。
金田「JUNE神こと栗本薫先生はどうやら乳首にはあまり興味がなかったようで」