大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

映画

舞台は1950年代。

『タイピスト!』、2012年の映画。 ミニシアター系だけど目ざしているのはハリウッドの快活。親子の不和も、恋愛もフランス映画ならば他者性として、言語でも行動でも埋められない溝/謎をのこしてくれるところ。アメリケーヌはなんでも解決してしまう。 きっ…

「私は親の愛に飢えていた。親たちもそうだったんだ。代々そうなんだが、あけっぴろげに愛情を表現する能力がない」

『プレイボーイ 〜創刊者ヒュー・ヘフナーの物語〜』はおもしろい。繰りかえし観る。売るために雑誌を創刊するのだから単に不道徳や反権力であるというのではだめで、真ん真ん中に立たねばならない。 そのためにノーマ・ジーン(マリリン・モンロー)のヌー…

ガイ・フォークスの夜

『アタック・ザ・ブロック』(2011)、冒頭から何が起こるかよくわかるし、さいしょのエイリアンをかんたんに仕留めてその造作もはっきり映して小気味好い。そのあと襲来するエイリアンたちはフォルムが異なっているからおどろきがなくなることはない。 団地…

ジョン・グッドマン好演

J・J・エイブラムス製作、ダン・トラクテンバーグ監督『10 クローバーフィールド・レーン』(2016)。クローバーフィールドとエイリアンをめぐるシェアード・ワールド。《一つの状況》。その縛りもあってエイブラムスらしい飛躍のない《ちいさな冒険》。80…

危機の継続。

『スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救Woo!』(2015)。ラストのカタルシスが凄い。《一つの目的》を見うしなわせることなくスポンジ・ボブたちカートゥーンの世界、アントニオ・バンデラス扮する実写海賊の世界を物語り、まとめあげていく。 スポンジ・ボ…

視えないせかいに視えないひとたちを巻きこんで、ファンタジー

『パラノーマン ブライス・ホローの謎』(2012)。キャラクターは佳い。周辺人物はアニメーション特有の戯画化、通俗化。さいごまで観るとゲイもいて。 主人公のノーマン(コディ・スミット=マクフィー)が、アウトサイダー。スクールカーストの下層という…

初期衝動の亀

思い入れがあっても、なくても舞台裏、いろんなひとがでてくるドキュメンタリーは楽しい。 『タートル・パワー:ミュータント・タートルズ誕生ストーリー』(2014)──従来のヒーロー物のパロディとしてはじまり、人気を獲得していったことが語られる。アニメ…

「機械バカと筋肉バカと夢見るバカ」

2017年、若いおとこの子たちはふしぎと任天堂とタートルズが好き。もっとプレステなのかなあとおもうとそうでもない。タートルズのほうは、おとこの子の好きなものがいっぱい詰まっていたのだろう。家で安いすき焼き突突きながら、吹替派と字幕派の主張が侃…

「昼も夜も、わたしはおおきな声で泣いていた」

『きらめく拍手の音』観る。Children of Deaf Adults、コーダ(CODA)の監督によるドキュメンタリー。両親とも耳が聴こえない。 イギル・ボラ監督の父サングクは補聴器をつければすこし聴こえるが、母のギョンヒはまったく音を拾えない。だから、授乳期は大…

「この家で正直者なのは俺だけだぁ」

ディズニーの『カンペキ・ボーイ』(2014)。白人と黒人のおんなの子が主演で、シンデレラストーリー、ファミリー・ロマンス。 ディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーは恋(非日常)と事件(非日常)と日常のバランスが良く、なにかが添え物になった…

犬とチョコレートとおまえ

『ディセンダント』(2015)、監督はケニー・オルテガ。ディズニー映画の悪役たちの子らを善玉にすることで物語の再生産を免れる。親とはちがう子の生きる道。それでもまわりの偏見がつきまとう。『ハイスクール・ミュージカル』流のミュージカルと、多様性…

もっとマジカルな邦画も、コミカルな邦画もたくさんある。

『美しい星』観る。吉田大八監督。 騙されやすい一家。苦境にあるから騙されたがっているのかも。 ミスコンとか、政治とか、バンドマンとか、マルチ商法とか、気象予報士とか、自転車メッセンジャーといった一般人の神経を逆撫でするものばかり。これが監督…

後日譚

クリストフ・ヴァルツが性格わるくチャイルディッシュでかわいい。 『ターザン:REBORN』(2016)。アクションで、スケールおおきく、コスチューム・プレイでもある。企画意図がはっきりしている。 しかし、『パイレーツ・オブ・カリビアン』には敵わなかった…

「中止! あとは編集で何とかする的な方向で。ほら! 足りないのは富士山あたりで撮ったりもできるし、たぶん。な!」

『探検隊の栄光』(2015)、原作は荒木源(『ちょんまげぷりん』『オケ老人!』)、脚本に『ホーンテッド・キャンパス』の徳尾浩司ほか。監督山本透(『グッモーエビアン!』)。 豪華と言われるキャスト(藤原竜也、ユースケ・サンタマリア、小澤征悦、田中…

テレビの了見で映画をやっているのか、映画の了見で映画をやっているのか、わからない。ウソのつきかたが昭和。

『大怪獣モノ』(2016)。河崎実監督の作品は何本観ても合わない。

おどろきがほとんどない。おどろきを共有したり、おどろきに共感できるのがフィクションの醍醐味なのに。

『ホーンテッド・キャンパス』(2016)。 中山優馬はコメディを演るには若すぎるかも。安井謙太郎がかわいかった。 大和田伸也、得意の器のちいさいおとこ。

やっと観た

井上順すきなので、『JAZZ爺MEN』(2011)。河原さぶも上田耕一も清水章吾も台本にしたがって役づくりをされたのだろうけど、書かれているキャラクターたちに愛すべきところがあまりない。

(昨日・今日・明日)

『ばしゃ馬さんとビッグマウス』(2013)。監督、吉田恵輔。 シナリオ教室で出会う二人。ヒロインのばしゃ馬さん・馬淵みち代(麻生久美子)はかなしいくらい大まじめ。ビッグマウスの天童義美(安田章大)は書きもしないで傑作できるとうそぶく男。 吉田監…

「……まさか、おっぱいとか揉んだり、きみのペニスを挿したり、入れたりしてるの?」「多少は」

「いつか一緒にころそうって約束したじゃん。コイツのがしたら俺らがころされんだぞ」 ここで「逃がす」を「にがす」と読むか「のがす」と読むか。にがせばコイツはヒトとなるし、のがせばコイツはチャンスのことだ。森田剛は「のがす」と科白した。これが脳…

うすぐらいが、まぶしい。

『闇金ドッグス』(2015)、山田裕貴と高岡奏輔。脚本、池谷雅夫。監督は土屋哲彦。 ヤクザを辞めた男(山田裕貴)が、自身の借金を返済するため闇金業者に転身する。この設定。はじめはきちんと回収できないというのも、好い。山田裕貴の安藤忠臣は喜怒哀楽…

垣根を越えて、タイマン

主演は陳内将。『ガチバン NEW GENERATION 2』(2015)。紋切型と冗談と悲哀の混ぜかたが巧い。中国人に日本語を教えて売春させる。そういうシチュエーションにメガネでおさげのヤンクミ(楊來未)なんてキャラクターが。 安藤忠臣(山田裕貴)は出世してい…

「おい知ってっか? ジャパゆきさんて」「ああ、あの、家電の通販ですか?」「これだもんなあ18歳。マンゴー世代とキウイ世代のジェネレーションギャップ痛感させられるぜ」

山田裕貴の異界の美しさに惹かれて『闇金ドッグス』観はじめているが、『闇金ドッグス』は『ガチバン』シリーズのスピンオフで、『ガチバン』にも飛び飛びで2作ほど出演している。 安藤忠臣というキャラクター。『ガチバン ULTRA MAX』(2014)では18歳。暴…

書き手が事件に寄り添う必要はあるのか

『疾走』(2005)、原作が重松清で監督がSUBU、嫉妬ぶかく深刻な映画に。 寺島進、中谷美紀、豊川悦司、大杉漣。柄本佑、加瀬亮。 主演は手越祐也。ヒロイン韓英恵。 なにしろ重松清だからなあ。

始まりは永遠

きらきらと、かるくて、まっすぐで。 中山優馬主演の『バッテリー』(2008)、助演は高田翔。 じぶんを信じたり、だれかを信じたりすることのシンプルな輝き。 へんに老成したところがない。中学生が中学生を演る。 千原ジュニアや中尾ミエ。斉藤由貴。まわ…

WOWOWテレビドラマ『4TEEN』(2004)。思春期と、心身の病気。心のほうは家に籠もるし、難病ならば入院だ。そのときの自室や病室を、石田衣良は抽象的なものにしたくなかったのだろう。月島を舞台に、マンションの高層階や聖路加国際病院。ウォーターフロン…

笑う回数よりも泣く数のほうが多かったかな

『帝一の國』観る。菅田将暉、野村周平、志尊淳、間宮祥太朗、竹内涼真、千葉雄大──このキャスティングの凄さ。 いくつものカップリングを「発見」できておもしろい。俳優の熱演に原作が奉仕するかたちだ。キャラクターの関係性をつよくする温かな肉の匂い。…

優しくて甘い声の、ツッコミ(その空恐ろしさ。フィクションにあたえられた可能性)

「こりゃダメだ。しなないし、ころせない。すくなくとも『先生』としては」──菅田将暉の科白。すげえなァとおもって観た。 『映画 暗殺教室』(2015)。美しさに甲乙はないが、順列によってオドロキが生まれる。今作は山田涼介、菅田将暉、加藤清史郎とオド…

(トキャベツに水をやりながらその名を披露する)「これがキャンディーじゃ。これがキャサリンじゃ。これがのう、キャロラインじゃ」

『忍たま乱太郎 夏休み宿題大作戦!の段』(2014)、加藤清史郎、林遼威、大八木凱斗ほか子役大活躍。1作目の三池崇史監督作品とは趣の異なる田崎竜太の仮面ライダー、スーパー戦隊的な軽快さと殺陣。イケメン俳優がどれだけ画面に入っても皆イケメンに映るの…

「ワァも、野菜と毎日、戦争してらァ」

片想いの主人公。監督は横浜聡子。『ジャーマン+雨』公式ページの「監督について」によると〈楳図かずおを誰よりもリスペクトし、カラオケでは椎名林檎を熱唱、候考賢の映画が大好きで、坂口安吾を愛読するも、精神年齢は小学生並と自認する、悩みは多く言葉…

「最低な男」「それがプロデューサーよ」

話題になることもなく消費されるたぐいのB級映画の現場を舞台に──と観はじめたものの受けとめる心地が徐徐に『サクラメント 死の楽園』、カルト教団の物語のような。 イギリスの録音技師・ギルデロイ(トビー・ジョーンズ)がイタリアのホラー映画制作に関わ…