大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

マンガ

頼られる。突っこんでいく。関係が生まれちゃう

Moo.念平『あまいぞ! 男吾』の傑作選がでたことを知る。そのまえに、『あまいぞ!男吾 (1) (トラウママンガブックス (第3弾))』(2002)。かかえて旅して生きてきたよ。 やんちゃなかおと身体能力。いまなら岸優太をかさねてもみる。 男吾は、ハイスパートで…

「八木さんとコスト 両方を納得させるにはこれしか方法ありません」

天堂きりん『きみが心に棲みついたS 2 (フィールコミックスFCswing)』。「不純な動機でもいいんじゃない?」という、大人で公平な立場からのアドバイス。それが偏ったヒロインに誤りなく伝わるかどうか。 大人で公平な吉崎は、善悪にこだわることなく理解…

ひととの関係なんて、頑張らなくてもいいのかもしれない。時代が変わっても、道具が進化しても、街なかで泣きじゃくってしゃがみこんで「捨てないで」捨てないで、なんでもしますと電話しているのを見たりする。 他人と、異なる価値観とつきあっていく努力を…

「言われてみると確かに彫ってますね」(萩尾)

『浦沢直樹の漫勉』、萩尾望都。「問題に直面している大人が面白い」 萩尾望都の転機は、手塚治虫の『新選組』を読んだこと。親友を斬らねばならなくなった懊悩の一コマ。科白はたった二行だったが夜ごと萩尾のあたまのなかに科白が、ドラマが増えていく。 …

「あれ? 筆ペン? 筆ペンなんて使ってたかな……」「まちがいなくこれ鳥山先生ですからね」

『ジャンプ流! 2016年 1/21 号 [雑誌]』、鳥山明。 「ここまで描いたから引きかえせなかったかんじしますね」 1995年の作画VTRを観ながら『DRAGON BALL』三代目担当編集の武田冬門と鳥山明の会話。鳥山明がかなり飄飄。 「ふしぎな服を着てるな……」「この服…

「コピックは、ムラができやすいんで、ムラができないように乾かないうちに広い面を一気にぬってしまうっていう……。二度塗り三度塗りをして」

『ジャンプ流!DVD付分冊マンガ講座(2) 2016年 2/4 号 [雑誌]』。「NARUTO」。 「よく怒られましたね、『消しゴムがけが甘い』って。昔。『印刷に出ちゃう』とか言って」 岸本斉史みずから(久しぶりの)消しゴムがけをしたあとに、ポスカでホワイトを入れる…

〈たしかに単純で馬鹿なところもあるけど けどそういうとこだって俺にとっては眩しくて〉

佐倉しいね『明日は言えるかな (ショコラコミックス)』。“甘酸っぱい”初恋の女子と男子がいて、男子の勇気待ちという、そういう“明日は言えるかな”。週刊少年マンガっぽい男子のよこには、カムアウトも愛の告白もできない男子。 だれにもカムアウトできない…

〈自戒した俺よ 忘れるなよ〉  上京まで

絵津鼓『SUPER NATURAL (Canna Comics)』。ふしぎと遠くて、なつかしい。学園物はにがてだけれど、職業や将来をわすれてはいられない専門学校が舞台のせいか、かなしく澄んでいる。美容科。関西弁で。みごとに標準語的な日常から切り離されている。 そういう…

「この外見なら 中身が誰だって構わないんだな」

コモトミ裕間『ようこそニューワールド (BABYコミックス)』。絵はやや古く、未熟だけれどもおもしろかったしエロかった。意趣返し、リバ、目覚め。正義と悪がないまぜになっている。愛することや征服することのむずかしさ。 俺がわざわざ“アノ写真”ちらつか…

「強くなってどうするの?」「プロになりたいからですよ!!」「誰も君たちがプロになることなんか望んでないのに?」

棋譜監修・橋本崇載八段、トウテムポールの将棋マンガ『或るアホウの一生 1 (ビッグコミックス)』。主人公は高校生。奨励会の三段。 「今、プロ棋士になりたいと思ってる子は奨励会員だけでも150人くらい。その中でプロ手前の三段の子は40人くらいいる。6級…

百合も薔薇も知らない男子が百合を見て薔薇に気づくということもある。

明るくヤンチャな真嶋と、まじめでぼっちの園木。どちらも、身のまわりのだれかを当てはめることができる。二人のなかに、何人もの知人。 たなと『あちらこちらぼくら (ビッグコミックススペシャル)』。真嶋がぐいぐい入ってくる。園木が戸惑う。これが、BL…

(あぁ……矢野さんの生活音が聞こえるって幸せ…!!) シャワーの音をしっとりと盗み聴き

「矢野さんお休みって何日ぐらいですか? すぐにまた大阪行くんですか 矢野さんオレ何度もメールも電話もしたのに…どうしてお返事くれなかったんですか? 忙しいんですか 矢野さん大阪ではどこに住んでるんです? 次のお休みとかわかります? 今後の予定とか…

表題作。それと「ヤングアンドラブリー」

俺の気になる奴は その頃 既にほぼ 「あっち側」にいたんだけど! この「あっち側」というのはゲイとかBLとかを指すのではない。十五歳。チーマー、愚連隊、不良といった「あっち側」。 ロミオとジュリエットのように家と家、家と個人が対立する必要はない…

「いーんだよ、身内に手ェあげられてんだぞ」「絶対きっかけ待ちしてましたよね…」「ア?」「なんでもないです…」

はらだ『よるとあさの歌 (バンブーコミックス Qpaコレクション)』。絶品。絶句。 はじまりは、尾崎南を想わせるような潜在的好意と好意のぶつかりあい。ところがそれは物語の長編性と主演がだれかを伝えるためのもので、「ヨル」のまえに現れた兄妹は一旦退…

〈俺は多分 罰する神じゃなくて……許して救う神だ!〉

大黒様の描かれた小皿がほしいとさがしていたら、青沼貴子の新刊。 『七福神の大黒くん?』。青沼貴子といえば『ペルシャがすき!』にはじまり『ママはぽよぽよザウルスがお好き』を経て『青沼さん、BL漫画家をこっそりめざす。』と、たとえばそういう要約が…

『性別が、ない!』のあいだ

新井祥のエッセイマンガ『中性風呂へようこそ! (アクションコミックス)』。新井祥が得意とするのは半陰陽、性同一性障害(FTM、MTF)。 「オシャレ」や「セクシュアリティ」への偏見がつよいひとのことを「“70年代型キャラ作り”をしている」と指摘していてナ…

岸本斉史『NARUTO―ナルト― 外伝 ~七代目火影と緋色の花つ月~ (ジャンプコミックス)』。

「でもボクは大丈夫 ボクのおなかはドライアイスと溶岩を一緒に食べれるんだから」

ハルキ悦巳『じゃりン子チエ (12) (双葉文庫―名作シリーズ)』。 読んでいて、すごいなあ、とおもうことしばしば。まっすぐな論理ではたどりつけない洞察がごぼりと溢れだす。 「コケザルは十日もずっと一人で生きて行けるんやから」 「なにぬかす」 「それは…

(コケザルは話すたびにグレて行くみたいやった)

はるき悦巳『じゃりン子チエ (11) (双葉文庫―名作シリーズ)』。 「ワシおまえとこのお母はん好きやけど テツの嫁ハンやと思うとほんまはアホなんやないかなぁと思うんや」 「最初はいきなり来るつもりやったやろ」 「え…!?」 「そのみやげ」 「あ…これ…」 「…

ジュニア「男のロマンなんていわれてその気になる奴はイモ」

はるき悦巳『じゃりン子チエ (10) (双葉文庫―名作シリーズ)』。レイモンド飛田、「ワシもおこれ以上見栄はっとったら死んでしまうからな それでもお今日から普通の労働者にもどることにしたんや」──。 「テツにはこのことゆわんといてや ワシ なんかあいつに…

「そやけどワシずっとオヤジとは親子のつき合いして来たからなぁ それがここに来てもお一人子供が出来たからゆうて 突然オレに猫だけをやれゆわれても」

はるき悦巳『じゃりン子チエ (9) (双葉文庫―名作シリーズ)』。 「市会議員候補レイモンド飛田の巻」など。 お好み焼屋のオッちゃん百合根が、分かれた子と会う話はものすごせつない。

レイモンド飛田「ワシ時々 おまえらみたいにイモだけ食てても死なんどーゆう自信満々の顔見てると腹立ってくるんじゃー」

はるき悦巳『じゃりン子チエ (8) (双葉文庫―名作シリーズ)』。 「おまえ考えたことないんか なんでオレらは猫やねん……」 「あかん…分かった分かったそこまで!! ダメ!!」 「あのなぁ…」 「ダメ!! 考えちゃダメ!! なーんも考えちゃダメ!!」 「…………別になにも考…

〈ボク 市川雷蔵〉

はるき悦巳『じゃりン子チエ (7) (双葉文庫―名作シリーズ)』。 「なにぬかす リングネームちゅうのは相手びびらすためにあるんやど ダイナマイトなんかより狂犬の訳のわからんひつこさの方がこわいんじゃ」「そおゆわれるとますますピッタリの気がしてくるな…

〈日本の景色なら ブタの散歩もこんなに 非日常的には見えねぇんだろうなぁ〉

京山あつき『ヘブンリーホームシック (on BLUE COMICS)』。 『ロンドン勤務』 カッケー!! 浮かれて 友だちに見送られて飛び立った 真冬のヨーロッパ ひと月で孤独の闇の限界に達した── そこで再会したユキサダ。〈ユキサダが…泊まってくれる 今日は──泣きな…

「大人は平気なフリができるようになるから必要もない嘘をつく」  杉本亜未『ファンタジウム』

僕はマジシャンです 奇跡は起こせません だが魔法をかけることはできます! 杉本亜未『ファンタジウム(8) (モーニング KC)』。科白に、「これほどの才能があれば読み書きが不得手だとしても そんな方法で客寄せする必要はなかろうよ!!」とあるがその正しさが…

「俺のために生きるって誓ったくせに 逃げようとしたよな もう一度俺の側(そば)に居たいなら ちゃんと償えよ」

(KCデラックス Kiss)" title="きみが心に棲みついた(3) (KCデラックス Kiss)" class="asin"> 天堂きりん『きみが心に棲みついた(3) (KCデラックス Kiss)』。 私がこの人のそばにズルズル居れたのは 彼のそばに居た他の女(ひと)と違って星名さんと体の関係…

〈血の匂いがする…〉  堤谷菜央「バースデイ」

いきなり事件のど真ん中に置かれて始まることを劇画とするなら、少女漫画はいきなり設定が来る。〈俺は夕飯を食べようとしていた その時 こたつ横の何もない空間から あの子は現れたのだった〉 堤谷菜央『人生は二日だけ (リュウコミックス)』。えがかれる世…

それでいて「あっさりくっついた」

京山あつき『すのーふれーくす (H&C Comics ihr HertZシリーズ)』。 「雪の中で運転すんの初めてだわ オレ これホントに上から降ってんのかな? 前からみたいだスゲー」京山あつきのマンガのなかの外気の感受が心地好い。先生にあこがれたり弟の後輩にときめ…

「2番でいいよ?」を呑ませる。呑む。性の時間。

鳥飼茜『先生の白い嘘(2) (モーニング KC)』。 恋愛体質が迎合、助長することもある。一人称の野蛮な部分を。 痛いのも怖いのも 最初だけだから ひととひととのまじわりのなかで、わるいやつはいずれのけものにされる。たとえば同性の友達しかいない男。恋愛…

鳥飼茜『先生の白い嘘(1) (モーニング KC)』。 性交による親密さをただエロティックとみるならば辺りはじつに官能的なのだけれども、そこに社会的な歪(ひず)みを発見するとスパイシーな歓びばかりではいられなくなる。オープンでいられなくなる。 そととの歪…