大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

マンガ

〈トリックのセオリーは 既に出尽くしている 手品業界と同じで 後は「応用」と「新素材待ち」だ〉

『マイホームヒーロー』との出会いは7巻の表紙。きれいだなー、かっこいいなーとおもって読みはじめた。 6巻までの表紙はおじさん(主人公)で、だから手に取る機会もなかった。 山川直輝・原作、朝基まさし・漫画の『マイホームヒーロー(1) (ヤングマガ…

〈表面だけ演じることで わかってないふりをしていたかった〉

PEYO『ボーイミーツマリア』、BL、すごかった。 生きのびるために「薄っぺら」な反応をしていくことをえらんだ大河(たいが)が、女装する演劇部員・優(ゆう)と出逢う。それこそ「薄っぺら」に、どこまでもつづけられそうなラブコメとして展開するのかとお…

ぜんぶわすれたくなること

志村貴子『さよなら、おとこのこ』第2巻。 ぜんぶわすれたくなるとき、たぶんある。すべての関係を絶ちたいとか。その表れの一つとして、子どもになりたいとねがうというか、子どもになってしまう。 心の声というやつもでてくる。ナチュラルな絵だから舞台設…

反復のようで、一期一会。

検索上位にでてこないマイナーな旅を思い立つ。観光地の、先の先。ローカル線の行き着くところ。路線図調べて、それから『旅の手帖』をチェックして、手ごろな宿があるのかどうか。 『旅の手帖』は電子書籍で買えて良い。行きたいところを扱っている号をすぐ…

「ボクあの手法は好きやないなぁ…」「何?」「脅迫系」

オトクニ『広告会社、男子寮のおかずくん』。好きで読んでる。温かなリアリティ。おかずくんがゆるやかに関西人で、大しておもしろいことも言わぬなど、レッテルからの逸脱が、関係性を生んでいる。 感情の濃淡がひとそれぞれにあるだけで、俯瞰すれば皆おな…

〈奔放で軽やかな オレとは正反対の男なら〉

この読後感の良さはなんだろう。ジョゼ『from 2DK』。3編。それぞれに描き下ろしのみじかい後日譚。 BLだからこそ、まだゲイ関係にないおとこの子たちの同居生活をえがける。なにも起こらないのに、クローズアップされる。描写される。 ひとと暮らすのに、き…

「若菜 オレ喜ばすのうますぎる お前の言葉ウソがないから」

佐藤龍我と高橋恭平! とおもいながら読んだ。BLに、こういう取り乱しかたをしたのは初めて。ジャニーズJr.をかさねるなんて。 肌の匂いと体温。なまなましさがあるのは、省略が効いているせいだろうか。裸を描くのも上手い。 濡れ場はすくない。ノンケが、…

「──て これ…俺の心臓の音か…!?」

「学び飯」として芸能界の先輩から話を聞くジャニーズJr.の『裸の少年』がおもしろい。性差はあまり問題とされず、どのように苦労したか、生き延びたか。柴田理恵、田中律子、森公美子など、めいめいに歩みがある。 その道をHiHi Jetsや東京B少年の子らの未…

2013年から 断続的に つづいている 黄泉路の物語

(BL描写なし)藤たまき『黄泉路喫茶コヘンルーダ (ウィングス・コミックス)』。サスペンス。謎多きオトコたち。 中心となるのは、霊が視える彩達(さいたつ)。 昼も夜も 目を閉じて いても それは いなくは ならない 藤たまきによる、節度あるオトコっぽい…

「…いつからそういうこと言うようなヤツになった?」

イシノアヤらしからぬ表紙の『アイ・ドント・クライ (上) 【電子限定おまけ+アマゾン限定特典付き】 (バーズコミックス ルチルコレクション)』。たおやかな、男子アイドル然とした顔。ほかの人物たちとは描きかたが異なる。それで華がある。 アイドルも、バ…

「なかちゃんはさー なんで映画同好会入ったの?」「……ウチの大学LGBTサークルあるの知ってる?(……)会員募集の張り紙のノリが……合わなくてさ〜」

新井煮干し子『もらってください (EDGE COMIX)』。マンガとして、自立している。ムダがない。登場人物けっこう会話してるのに、時間の省略きちんとしていて、動きがあり、喜怒哀楽もすごい。 モテることとあんまり縁なく過ごしてきた希介。女の子にとてもモ…

ド変態がすべてを呑む。

清潔な絵でがっつりエロい。そういうリアルもある。 碗島子『せまい。 (バンブーコミックス Qpaコレクション)』。売れっ子漫才師を目指す「せまい。」の二人、ヨイと塩。ネタ合わせは公園でするけれど、かならず見に来るあやしいおとこ。 ヨイは芸人の強心臓…

「男はチンコ揉まれりゃ硬くなるに決まってんだろ」

トリメ『五臓六腑の恋 (バンブーコミックス moment)』。深夜から始発前まで営業する食堂の店主(若い)と売れっ子ホストの物語。 アクロバティックな着想とか、急展開というのはない。初コミックス。マンガの技術は平均以上。 食堂店主はゲイで借金抱えてい…

(この二人は5年間…ちゃんと“師弟”だったんだなぁ…)

穂積『僕のジョバンニ 3 (3) (フラワーコミックスアルファ)』。 5年間。それがどのようなかたちになるかが天才と凡人の差ではあるのかもしれない。鉄雄の5年間は、端から見れば《空白》である。 鉄雄は腕だめしにとちいさな大会にエントリーするが、それを聞…

背中の描写、多い。

折り合いなんてつけたら 鉄雄は その瞬間に チェリストとして死ぬ 穂積『僕のジョバンニ 2 (フラワーコミックスアルファ)』。小学6年生の鉄雄はチェロを弾いていた。その音をたよりに、海難事故から生還できた郁未(いくみ)。郁未は鉄雄からチェロを習うが…

《チェロよ叫べ》

天才と、凡人のことがえがかれているよと聞いて、読めばすぐにそのちがいがわからなくなるけど、とにかくどちらも孤独である。 孤独と孤独が触れあったところに物語が生まれた。それは共同体的な教訓ではない。掟ではないのだ。 穂積『僕のジョバンニ 1 (フ…

〈オナニーの片手間に聞くような話じゃなかった〉

登場人物が正しさを説くなんていうのは、物語ではない。 正しさを主張する、主張すればするほどオカシなことになっていく──ということであればそれは物語だけど。 これは愚痴か? なんでこんな前段を必要としているのだ? 『ビューティフル・エブリデイ 1 (…

〈クリスマスが来た〉

オトクニ『広告会社、男子寮のおかずくん(2) (クロフネコミックス)』。貴族的なところがなくてイマドキ。ひとはだいたいガヤである。 ゲストで登場するオネエキャラをいかついながらも清潔感ある美人に描いているのもイイとおもった。 営業とマーケの対立、…

「あたま わかる からだ わからない ごめんなさい」

原作・木原音瀬、漫画・羅川真里茂『吸血鬼と愉快な仲間たち 2 (花とゆめCOMICS)』。 アルベルトは若くして吸血鬼となり、孤立して、未熟な心のまま異郷の地にいる。このかなしさに胸を衝かれる。 暁(あきら)が優しい 痛い時 背中ずっと撫でてくれたし だ…

かわいいマンガ2

オトクニ『広告会社、男子寮のおかずくん (クロフネコミックス)』。 舞台は広告代理店。関西弁だがギャグ100連発というのでもなく弱気なところがある西尾和(おかずくん)の家に週末あつまる同僚の東良、北、南郷。それぞれごはんの担当があって、おかず、汁…

かわいいマンガ1

原作、木原音瀬。羅川真里茂によるコミカライズ『吸血鬼と愉快な仲間たち 1 (花とゆめCOMICS)』。 コミカルで、テンポも良くて、ときどきせつない。 全裸になったり蝙蝠になったり。自身のすがたをコントロールできない中途半端な吸血鬼アルベルトが異郷日本…

しあわせのかたち

紗久楽さわ『百と卍 2 (on BLUEコミックス)』。物語を欠いた回が多いのに、読ませる。かるいネタのえらびかたが上手い。 こちらの知らないこと、それでいて調べたり、試したりしたくなるようなことを入れてくる。 固まってしまった現実のまえに置かれる未知…

「女の着物は きれいだなァ…」

漫画版『しゃばけ』アンソロジーで知った紗久楽さわ。BL『百と卍 (onBLUEコミックス)』、しっかり江戸の風俗で、楽しい。 同性愛にあこがれて、衆道として文化的にみとめられていたのが江戸時代、だからテーマにえらびましたというのじゃない。紗久楽さわが…

どの短編にも初期衝動

2011年にかわかみじゅんこ名義で出版された『いたいけざかり (Feelコミックス オンブルー)』は、もとをたどれば西目丸時代のコミックス(2004年。光彩書房)で、雑誌に掲載されたのはおもに1990年代。 それは当然1980年代から連なるもので、なんとなく想起す…

アラン

『月刊flowers 2018年7月号(2018年5月28日発売) [雑誌]』、表紙のアランが岩橋玄樹よりのアラン! と即買い。萩尾望都先生にそのような意図はないだろうけど……。 アランが岩橋玄樹だとするとエドガーはサーセンだろうか、それとも歩く人間ゴリラだろうかとか…

「若だんなは夜に馴染みがない 第一 闇は目を合わすもんじゃない」

アンソロジーは好い。知らずにいた作家を好きになる機会ができる。『しゃばけ漫画 仁吉の巻 (BUNCH COMICS)』で紗久楽さわ、吉川景都。 紗久楽さわは画面が賑々しく、少女マンガらしい楽しさ。美男美女が揃っている。人物によってはかなり面長に描き、役者を…

つばな「動く影」、上野顕太郎「狐者異」。

『しゃばけ漫画 佐助の巻 (バンチコミックス)』、畠中恵『しゃばけ』シリーズのトリビュート・アンソロジー。萩尾望都、雲田はるこ、つばな、村上たかし、上野顕太郎、安田弘之、柴田ゆう。 若だんな・一太郎は病弱で、それを守る手代二人がキレイ系の仁吉(…

BL寄り青春コメディ(しかし、同性愛傾向のない友情なんてあるのだろうか?)

『青少年アシベ(1) (アクションコミックス(月刊アクション))』。原作、構成は森下裕美。作画、笑平。小学校低学年だったアシベたちが高校生に。 水族館にいるゴマちゃんに会いに行き、全裸でいっしょに泳ぐアシベ。ネパールカレーをもってくるスガオ君。水槽…

読みながら、なぜジョンヒョンをおもいだすのだ。

表紙を見て「悪い、俺は性格が悪い。」かと早とちり。現代短歌の同語反復に馴れすぎてしまった脳。正しくは『俺は性格が悪い。 (EDGE COMIX)』。四宮しの。 登場するのはだいたい大学生たち。連作、群像劇。 だから院生がでてきたりほかのカップルのエピソー…

(神と野獣の都)

短編集、四宮しの『色咲き (onBLUEコミックス)』。「第一話」の、他人の疵痕(きずあと)へのフェティシズムが文学的だなー、とおもう。登場人物全員が文学的な重苦しさを共有しているわけではなくて、パートナーとなるおとこの子がかんたんに、主人公…