大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

2018-01-01から1年間の記事一覧

〈三十年も前に読んだときに、ははァ、西欧の作家たちは、この書物とキャッチボールをしていたんだな、という印象が今も頭に残っているのです〉

1984年から1986年にかけて連載された「はずれ者の旧約聖書」が文庫となって『私の旧約聖書 (中公文庫)』。 色川武大の、丸腰で挑むような文章がスリリングなときと、もの足りないときと。 この書きかたには真剣勝負の怖さがあると用心しつつ。 どんな戦争で…

かわいいマンガ2

オトクニ『広告会社、男子寮のおかずくん (クロフネコミックス)』。 舞台は広告代理店。関西弁だがギャグ100連発というのでもなく弱気なところがある西尾和(おかずくん)の家に週末あつまる同僚の東良、北、南郷。それぞれごはんの担当があって、おかず、汁…

かわいいマンガ1

原作、木原音瀬。羅川真里茂によるコミカライズ『吸血鬼と愉快な仲間たち 1 (花とゆめCOMICS)』。 コミカルで、テンポも良くて、ときどきせつない。 全裸になったり蝙蝠になったり。自身のすがたをコントロールできない中途半端な吸血鬼アルベルトが異郷日本…

作戦変更作間くん。臨機応変作間くん。

『ファッションリサイクル たんぽぽハウス 高田馬場店』というジャニーズらしくないロケーションがイイ。そういうばしょで、千円以下で、私服のダサさが致命的な高橋優斗を作間、猪狩がコーディネートする……。 いかにも大ヤケドしそうな企画で、だけど作間龍…

「遅刻はするな。挨拶はせよ」

新生『裸の少年』、第2回目を観る。 石原良純が田園調布周辺のお店を紹介。鰻の「八沢川」、鮨「船八」、中国料理「鎮海楼」、イタリアン「イルピアット カチャトラ」とどれも地元感、愛用感。 佐藤龍我のコメントが印象にのこった。 大トロを食べて「美味し…

「狂犬」梅田公太

『DDT LIVE! マジ卍』2018.6.12。七番勝負の第3戦、梅田公太が田中将斗に挑む。 梅田公太には姿勢だけでなく豊かな表情がある。それも、ベテランの安定した喜怒哀楽ではなくて、その場その場であらわれる瞬発的な、一回性の炎。 チャンス到来やってやるぜの…

〈ご紹介の軸足は観光地のおトナリ。/ちょっとおトナリに足を延ばすだけで、/そこには誰かの日常があり、/穏やかな風景が待っていたりします〉

季刊誌としてスタートした『OZ TRIP 2018年 7月号 No.1 夏のひとり旅 (オズトリップ)』。今回のテーマは「夏のひとり旅」。 「カメラを持って旅に出よう『あの町、この町、絵になる町』」は好企画。カメラマン村上未知による、奥多摩。 近場ではあるけれど見…

部屋、オフ、ともだち。

『Ray(レイ) 2018年 01月号』、Hey! Say! JUMP。一問一答に、個性がでる。 寝るときの格好は? 山田涼介「寝るときは青×白のストライプのパジャマ。部屋ではずっとパジャマで過ごしてるよ」 知念侑李「パンいちです。オールシーズン、全然イケます(笑)。帰…

「飾らない、気取らない、偽らない」(山田涼介)

『MORE(モア)2018年1月号』。Hey! Say! JUMP。 「JUMPでそろうと、どんな顔?」に知念侑李が〈アイドル界のセレクトショップ〉。言い得て妙。多士済済。 であればこそ〈一般人の強い味方〉(山田涼介)や〈近所の幼なじみ〉(有岡大貴)といった親密さが生ま…

しあわせのかたち

紗久楽さわ『百と卍 2 (on BLUEコミックス)』。物語を欠いた回が多いのに、読ませる。かるいネタのえらびかたが上手い。 こちらの知らないこと、それでいて調べたり、試したりしたくなるようなことを入れてくる。 固まってしまった現実のまえに置かれる未知…

「女の着物は きれいだなァ…」

漫画版『しゃばけ』アンソロジーで知った紗久楽さわ。BL『百と卍 (onBLUEコミックス)』、しっかり江戸の風俗で、楽しい。 同性愛にあこがれて、衆道として文化的にみとめられていたのが江戸時代、だからテーマにえらびましたというのじゃない。紗久楽さわが…

チョウ・ユンファの愛嬌に、平野紫耀をみる。

『誰かがあなたを愛してる』(1987)。 演劇の勉強のためにニューヨークへやってきたジェニファー(チェリー・チェン)は、さきに渡米していた恋人ビンセント(ダニー・チャン。1958‐1993)がほかの女性と仲良くなっているのを知る。 ジェニファーは遠縁のサ…

「わたしの好きなひとは、なんだか暗いかんじなの。でもね、おとこのひとは明るいよりも、なにか抱えているほうが、魅力的だったりするから」

『知らない、ふたり』。2016年の映画で、おとこの子がサコッシュ下げてるのか、凄いな……とスタイリストまでチェック。男性キャストはK-POPアイドル・NU'EST(ニューイースト)のレン、ミンヒョン、JR。女性は青柳文子、韓英恵、木南晴夏。 とても清潔な映画…

「きみに会えてよかった。」

こうしてまた徐々に時間をかけて、俺はもとの堕落した生活にもどっていった。 マロ「好きすぎてやばいから結婚するんすよね?」 蝶子「マロはコドモだねえ!」 『おっさんずラブ』、最終話。 脚本家・徳尾浩司がBL脳じゃないから書けたところ、いっぱい。上…

〈都市の隙間に生息する雑目ショーバイである。通りすがりの人が、冗談やオフザケで賽銭を投じ、ほんの少しの真面目や本気で、一縷の望みを託す。イワシとは、保証書なしの、シアワセのバラ売り、チープな幸せ屋なのである〉

事物を描写するのでなく、自身の文を装飾する昭和軽薄体の流れを汲む饒舌、戯作の語り口ゆえ読み通すのが大変だが、初回と後半はまじめでおもしろい。杉浦日向子『新装版 東京イワシ頭 (講談社文庫)』。 イワシの頭も信心から。東京に跋扈するいかがわしい流…

浮気を許さないストーカー気味の元カノが正当化されるような、作りでヤンス

『タイラー・ペリーのまた出たぞ〜! マデアのハロウィン2』(2017)。 前作はブライアン(タイラー・ペリー)家の長女ティファニー(ダイアモンド・ホワイト)が近隣フラタニティの企画するハロウィン・パーティーに顔をだすことからはじまった。男子学生…

前科のあるおばさんたち。だけど怖がり。そして勧善懲悪。

『タイラー・ペリーの出たぞ〜! マデアのハロウィン』(2016)。タイラー・ペリーが一人三役。マディアおばさんと、ジョーおじさんと、かれらの子であるブライアン。 一人三役の会話はもちろん別撮りで、メイクにかけた時間のぶんはたっぷりしゃべってやろ…

どの短編にも初期衝動

2011年にかわかみじゅんこ名義で出版された『いたいけざかり (Feelコミックス オンブルー)』は、もとをたどれば西目丸時代のコミックス(2004年。光彩書房)で、雑誌に掲載されたのはおもに1990年代。 それは当然1980年代から連なるもので、なんとなく想起す…

アラン

『月刊flowers 2018年7月号(2018年5月28日発売) [雑誌]』、表紙のアランが岩橋玄樹よりのアラン! と即買い。萩尾望都先生にそのような意図はないだろうけど……。 アランが岩橋玄樹だとするとエドガーはサーセンだろうか、それとも歩く人間ゴリラだろうかとか…

「いきなりお弁当なんて、ちょっと、重たくないかなって……心配だったんだけど」「ああ……重いです」

牧春版『おっさんずラブ』がどのようなラストを迎えるのか気が気でなく、2016年のオムニバス『年の瀬 変愛ドラマ』「第3夜 おっさんずラブ」観る。 この試運転があったからこそブラッシュアップできたのだと得心。1年とすこしのあいだにドラマのトレンドもず…

武川「春田がいま、カミングアウトしました……!!」

『おっさんずラブ』エピソード6「息子さんを僕にください!」。 年上女性・蝶子にゾッコンのマロ(金子大地)。声のトーンがちがうというか、控え目に言って上ずっている。いい演技。 黒澤武蔵(吉田鋼太郎)は「二番目の男でいいです」と言いだすし。 〈ブ…

双子 愛犬 国境

ある限られた空間で語られること。 『蝿の王』か『変身』か。エピソードを詰めこむか、削っていくかで作品の匂いが変わってくる。 『ヒトラーの忘れもの』(2015)。デンマークの海岸沿いにナチスが埋めた多量の地雷を掘りおこすことを強いられたドイツの少…

『anan (アンアン)2018/05/30 No.2103[最強の出会い! /King & Prince]』。

『シンデレラガール』フラゲ、三形態。ありがとう密林。

マ「ジュニアとなにがあった? しんだはずのかれが目のまえに現れたからって、そんなにかんがえこむような貴方じゃない。以前ジュニアとのあいだになにかあったんだろ? だからそんなに…」  バ「過ぎたことだ」

「やっぱり! ジュニアは綺麗な子だったっけね。女みたいにいつもルージュを引いて」とマライヒ。「僕より愛してた?」 劇場アニメ『パタリロ! スターダスト計画』(1983)。 スラップスティック、矢継早のギャグ、ジャズ、シリアスへの茶化し。 パタリロは…

「若だんなは夜に馴染みがない 第一 闇は目を合わすもんじゃない」

アンソロジーは好い。知らずにいた作家を好きになる機会ができる。『しゃばけ漫画 仁吉の巻 (BUNCH COMICS)』で紗久楽さわ、吉川景都。 紗久楽さわは画面が賑々しく、少女マンガらしい楽しさ。美男美女が揃っている。人物によってはかなり面長に描き、役者を…

つばな「動く影」、上野顕太郎「狐者異」。

『しゃばけ漫画 佐助の巻 (バンチコミックス)』、畠中恵『しゃばけ』シリーズのトリビュート・アンソロジー。萩尾望都、雲田はるこ、つばな、村上たかし、上野顕太郎、安田弘之、柴田ゆう。 若だんな・一太郎は病弱で、それを守る手代二人がキレイ系の仁吉(…

牧凌太「世間はいつだってうるさいです」

『おっさんズラブ』、武川を演じる眞島秀和がきっちり“第三の男”だ。嫉妬心の有無だろうか。 「好き」という感情を押したり引いたりするだけでは恋愛ドラマとして単調になる。烈しさはもちろんだけど、性格や感情の歪(いびつ)なところもだしていける舞台に…

〈「怨霊」を現実に見せていた組織があったと仮定すれば〉

高橋克彦と杉浦日向子『その日ぐらし』でおもしろかった話の一つに、「怨霊信仰」。 高橋 祟りをなすものということで「怨霊」を出現させていて、その祟りを藤原氏が御霊会などで鎮める。(……)時々は天皇の夜具の中に誰かを潜り込ませてみたり、真夜中に紫…

オカルトが大渋滞

オカルトについては、一人一派という気がする。世のなかを怖がって生きているひとに対しては「おばけなんていないよ」「にんげんをさらう宇宙人なんていないよ」と潰しておくけど、脳や色覚によって視ているものそれぞれはちがう。 この言いかたではまだ遠慮…