大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

2019-01-01から1年間の記事一覧

「母さんを困らせて、じぶんが困っている」

ことばにできるような、はっきりした理由があるわけではなかった。井上ひさしの『化粧』を観なくてはとおもった。やっていた。紀伊國屋サザンシアターで観た。 『化粧二題』。「化粧」という一人芝居を、有森也実と内野聖陽がそれぞれ演じる。〈合わせ鏡〉の…

〈トリックのセオリーは 既に出尽くしている 手品業界と同じで 後は「応用」と「新素材待ち」だ〉

『マイホームヒーロー』との出会いは7巻の表紙。きれいだなー、かっこいいなーとおもって読みはじめた。 6巻までの表紙はおじさん(主人公)で、だから手に取る機会もなかった。 山川直輝・原作、朝基まさし・漫画の『マイホームヒーロー(1) (ヤングマガ…

黒白(こくびゃく)。加わるのは赤。

舞台『黒白珠(こくびゃくじゅ)』観る。シアターコクーン。 チラシの「あらすじ」を読むかぎりでは大江健三郎や中上健次えがく第一次産業の男の野心や精力、恥辱に失墜といったものを想起したが、そうではなかった。時代設定は1990年代、佐世保の真珠をあつ…

〈どんなに努力しても、差別化されていないものは、お客さまから支持されず、競争に勝つことはできません〉

〈Part1では、私が実際に訪れたお気に入りのホットケーキの名店を紹介しました。気が向いたら、ぜひお近くのお店を訪ねてみてください。 たんなるガイドブックであれば、それでおしまいなのですが、そこで終わらないのがこの本の変なところです〉 遠藤功『「…

〈激しい愛は、理性のカケラも残さずに疾走する〉  『マクベス』

「はじめに」と「おわりに」が率直だと嬉しい。まちがいなく心にのこる読書となる。 小川絵梨子『シェイクスピア 愛の言葉』。対訳の、引用集だから「はじめに」「おわりに」を紹介すると魅力のすべてをならべてしまうようなものだけれども、それくらいで褪…

「あの子は、おしまいの気分が好きだった」

少年王者舘『1001』観る。作・演出、天野天街。 新国立劇場・演劇芸術監督となった小川絵梨子が招聘した。1978年生まれの小川絵梨子が、1960年に生まれ、1982年に少年王者舘を旗揚げした天野天街を呼びこみ、これまでとはちがった客層に触れさせる……。 『100…

「最先端のトレンドが集まるだけでなく、日本の伝統文化も体感できることが東京の魅力ですよね」  京本大我

平野紫耀の『東京ウォーカー2019年4月号』、Hey! Say! JUMPの『東京ウォーカー2019年5月号』と、つづけて買ったら習慣化した。なんの前情報がなくても、コンビニで表紙をチラ見するようになる。京本大我の、新連載。「東京和奏」。 おっとりした素直さ。ガツ…

あくまのじてん。

『ViVi』5月号にKing & PrinceのA to Z。ちいさな辞書。 「B」には「バカ(笑)。6人それぞれみんなバカ。キンプリを一言で表すならバカ」と永瀬廉。かれらは、岩橋玄樹がいるはずの空白をかならず意識させる。それはすごいことだ。不在であるとかんじさせず…

「いつかその決めつけが、おまえを。大人になってから苦しめる」

『俺のスカート、どこ行った?』観ながら──脚本が若い、身体性をやや欠いている。性差や、年齢の描き分け。などとおもうけれども小説ではないのだからこれでいいのかもしれない。むしろもっと余白があっても良いのかも。 大倉孝二、小市慢太郎、荒川良々、い…

『少年たち』

映画『少年たち』観た。美しかった。胸を衝かれた。 物語の理想としては、環境から切り離された個性によってドラマが展開するべきだろうとおもうけれども、少年という概念は飢餓感や孤独を呼び寄せずにはおかないわけで、映画らしくいくらか話の筋をみせるた…

〈表面だけ演じることで わかってないふりをしていたかった〉

PEYO『ボーイミーツマリア』、BL、すごかった。 生きのびるために「薄っぺら」な反応をしていくことをえらんだ大河(たいが)が、女装する演劇部員・優(ゆう)と出逢う。それこそ「薄っぺら」に、どこまでもつづけられそうなラブコメとして展開するのかとお…

「うしろ弁天まえ不動」

『吉祥寺寄席』行く。第55回。 登場したのは春風亭一猿、春風亭三朝、ゲストに栗林祐輔(能管。笛方森田流)。仲入あって八光亭春輔。 春風亭一猿、いまは前座だが5月に二ツ目昇進の由。演ったのは「半分垢」。 この噺はおもしろい。娯楽のすくない時代とい…

〈地盤が凍ったりとけたりをくり返すうちに、建物は土台からねじれ、ひん曲がっていくのです〉

Amazonプライム・ビデオ『MAGI 天正遣欧少年使節』の大作志向は、かつての日本映画に似ていた。それでずっと「海が、凍る……」と呟いて暮らす。これは『おろしや国酔夢譚』の台詞。 米原万里『マイナス50℃の世界』は、テレビ番組の企画で大黒屋光太夫の足跡を…

ぜんぶわすれたくなること

志村貴子『さよなら、おとこのこ』第2巻。 ぜんぶわすれたくなるとき、たぶんある。すべての関係を絶ちたいとか。その表れの一つとして、子どもになりたいとねがうというか、子どもになってしまう。 心の声というやつもでてくる。ナチュラルな絵だから舞台設…

生首。森がうごくこと

ナショナル・シアター・ライブ『マクベス』観る。冒頭に制作者の解説映像あり。 もともとの舞台は11世紀。「超自然的な力を信じた時代」である。設定はそこから近未来へと変わる。 現代のイギリスがかかえる問題をかんがえると欧州連合、多民族、他宗教、経…

反復のようで、一期一会。

検索上位にでてこないマイナーな旅を思い立つ。観光地の、先の先。ローカル線の行き着くところ。路線図調べて、それから『旅の手帖』をチェックして、手ごろな宿があるのかどうか。 『旅の手帖』は電子書籍で買えて良い。行きたいところを扱っている号をすぐ…

ミ・エスタス・インファーノ……(私は子どもである……)

舞台のチケットと縁なく、ときに主演の松田龍平を想いながら読む。松田龍平が宮沢賢治というのは大胆なイケメン化のようにもおもうけど、茫洋としたかなしみはあんがいぴたりと合ったのかもしれない。 井上ひさし『イーハトーボの劇列車』。前口上に、こうあ…

松尾芭蕉と温泉

嵐山光三郎『奥の細道温泉紀行』。テレビ番組で「奥の細道」自転車走破を企んだり、月刊『太陽』で「温泉・奥の細道」を取材したり。それらを再構成したかたちで、この本がある。 〈芭蕉は旅の魔術師である。(……)これは、旅をドラマに化けさせるマジシャン…

「芭蕉翁は生涯を通じて、『一人になりたい、一人になろう』とつとめた人物でありました」

井上ひさし『化粧』。収められているのは表題作と、「芭蕉通夜舟」。どちらも一人芝居のための戯曲。 井上ひさしの戯曲はハッキリしている。観客という「受け手」にとっても、俳優なる「受け手」に対しても。 「化粧」は、はじめのト書のなかに〈彼女自身が…

〈結論めいたことを言ってしまえば、日本人には「悠長なシステム」を構築して、洗練された「時間の無駄使い」をする才能があるのです〉

橋本治が亡くなった。2019年1月29日。 「橋本治」という一人の書き手としてはまだまだ進んでいけたとおもうし残念だけれど、どれだけ長生きをしても接ぎ木する若手は現れなかったことだろう。エピゴーネンばかりだ。 橋本治の本を読んでいくしかない。その断…

「今一番欲しいものは?」「役者としての想像力が欲しいです」

ひとの裸身よりも顔が愛しい。整った顔。さらにはそれを整えた顔。 置き場に困るので買わないことにしているけれど、新田真剣佑の写真集はちがった。隠しわすれて訪問客にイジられるようなときがあっても「だって、綺麗でしょう?」とつよくでたい。若いだけ…

タピオカ、御殿場、シュークリーム

『裸の少年』は猪狩蒼弥、井上瑞稀、高橋優斗。 猪狩蒼弥は、派手。冬物で印象がつよいのは、かわいい。 ゲストに的場浩司。 一軒目は「林家新兵衛」。外套ぬいだらえらくかわいい井上瑞稀。二軒目「SALON GINZA SABOU」。メジャーどころがつづく。 三軒目、…

かくじつな光

元木湧くん、長尾謙杜くんの笑顔とダンス観るとしあわせ。よくしなる。鞭のような。 佐藤龍我も綺麗。明るく、メリハリがあって、清潔由来の色気がある。 『ザ少年倶楽部』。美 少年がうたいはじめる「Anniversary」から。佐藤龍我が眼にやどす感情の豊かさ…

「ボクあの手法は好きやないなぁ…」「何?」「脅迫系」

オトクニ『広告会社、男子寮のおかずくん』。好きで読んでる。温かなリアリティ。おかずくんがゆるやかに関西人で、大しておもしろいことも言わぬなど、レッテルからの逸脱が、関係性を生んでいる。 感情の濃淡がひとそれぞれにあるだけで、俯瞰すれば皆おな…

「おれなかなかNEWSの番組に行くことないから、あ、こういう空気感なんだって」

『ザ少年倶楽部 プレミアム』、ゲストの藤ヶ谷太輔を堪能。 野生の匂い。それでいて優等生なところ。 清潔に保ち、警戒心を怠らないタイプだからこそ優等生になれるのだろう。優秀さと野生は矛盾しない。 あいてをじっと見る。すくないことばかずで印象をの…